タイ語の「ใจ」は、おもに「心」「気持ち」「気質」を表します。
この単語も、使われる頻度が高くかつバリエーションに富んだ単語で、奥の深い面白いことばということができます。
以前、「熱い心と冷たい心 ใจร้อนและใจเย็น」と題して、「ใจ」に修飾語をつけることで、さまざまな感情を表現する語法を紹介しました。
今日は、さらにこの「ใจ」を使った感情表現を紹介してみたいと思います。
กลับ〈戻る〉+ใจ〈心〉=กลับใจ 改心する
กำลัง〈力ちから〉+ใจ〈心〉=กำลังใจ 気力 やる気
ให้〈与える〉+กำลัง〈力〉+ใจ〈心〉=ให้กำลังใจ 元気づける 励ます
เสีย〈失う〉+กำลัง〈力〉+ใจ〈心〉=เสียกำลังใจ やる気をなくす
เข้า〈入る〉+ใจ〈心〉=เข้าใจ 分かる 理解する
เจ็บ〈痛い〉+ใจ〈心〉=เจ็บใจ 心が痛む 悔しい
ใจ〈心〉+กว้าง〈広い〉=ใจกว้าง 心が広い 度量の広い
ใจ〈心〉+แคบ〈狭い〉=ใจแคบ 心が狭い 度量が狭い 狭量な
ใจ〈心〉+จืด〈淡泊な〉=ใจจืด 冷淡な
ใจ〈心〉+ดำ〈黒い〉=ใจดำ 不親切な
ใจ〈心〉+จืด〈淡泊な〉+ใจ〈心〉+ดำ〈黒い〉=ใจจืดใจดำ 冷酷な
ใจ〈心〉+ดี〈良い〉=ใจดี 気の良い 親切な 優しい
ใจ〈心〉+น้อย〈少ない〉=ใจน้อย 怒りっぽい
ใจ〈心〉+เย็น〈涼しい〉=ใจเย็น 冷静な 心の落ち着いた
ใจ〈心〉+ร้อน〈熱い〉=ใจร้อน 気が短い 短気な せっかちな
ใจ〈心〉+ร้าย〈悪い〉=ใจร้าย 残忍な 意地の悪い
ใจ〈心〉+เร็ว〈速い〉=ใจเร็ว 気の早い せっかちな
ใจ〈心〉+สู้〈戦う〉=ใจสู้ 意気込みのある 挑んでいく気力のある
ใจ〈心〉+หาย〈無くなる〉=ใจหาย びっくりする
ชวน〈誘う〉+ใจ〈心〉=ชวนใจ 魅力的な
ดี〈良い〉+ใจ〈心〉=ดีใจ 嬉しい 気を良くする 喜ぶ
ตก〈落ちる〉+ใจ〈心〉=ตกใจ 驚く びっくりする
ตัด〈切る〉+ใจ〈心〉=ตัดใจ あきらめる
ตัด〈切る〉+สิน〈断つ〉+ใจ〈心〉=ตัดสินใจ 決心する
ตาม〈従う〉+ใจ〈心〉=ตามใจ 好きなように 甘やかす
น้อย〈少ない〉+ใจ〈心〉=น้อยใจ ひがむ 恨めしく思う
น้ำ〈水〉+ใจ〈心〉=น้ำใจ 思いやり
เบา〈軽い〉+ใจ〈心〉=เบาใจ 気が楽になる ほっとする
ประทับ〈印を押す〉+ใจ〈心〉=ประทับใจ 感動する
แปลก〈変な〉+ใจ〈心〉=แปลกใจ どうしてだろうと不思議に思う
พอ〈十分な〉+ใจ〈心〉=พอใจ 満足する
ล่อ〈誘う〉+ใจ〈心〉=ล่อใจ 誘惑する
โล่ง〈広く開けた〉+ใจ〈心〉=โล่งใจ ほっとした 気が晴れる
ไว้〈置く〉+ใจ〈心〉=ไว้ใจ 信用する 信頼する
เศร้า〈悲しむ〉+ใจ〈心〉=เศร้าใจ 悲しい 悲しむ
สบาย〈安楽な〉+ใจ〈心〉=สบายใจ 不安や不愉快なことがない 気持ちのすっきりした
เสีย〈壊れる〉+ใจ〈心〉=เสียใจ 残念な 心残りな 遺憾である
หนัก〈重い〉+ใจ〈心〉=หนักใจ 気が重い 心配だ
หลาย〈数々の〉+ใจ〈心〉=หลายใจ 移り気な
หัก〈折れる〉+ใจ〈心〉=หักใจ あきらめる 心を抑える
เห็น〈見える〉+ใจ〈心〉=เห็นใจ 同情する
อุ่น〈温かい〉+ใจ〈心〉=อุ่นใจ 安心する 心の温まる
เสียใจ…
「心を壊す」と書いて、「残念な」「遺憾な」「悲しい」という意味になります。
何とも言えない悲しい表現ですが、ある意味で的を射た表現とも言えます。
そもそも「เสีย」には、次に示すようにさまざまな意味がありますが、基本的にはネガティブなマイナスイメージのニュアンスになります。
①(時間やお金が)かかる (時間やお金を)かける、費やす (時間やお金を)使う (お金を)払う
เสียเงิน お金がかかる お金を払う
เสียภาษี 税金を払う
เสียเวลาห้าวัน 五日かかる
②壊す、壊れる、だめにする、故障する(建物・機械・物・体調・感情・人間関係など)
นาฬิกาเสีย 時計が壊れる
เสียเด็ก 子供をだめにする
อารมณ์เสีย 気分を壊す
③失う、損なう
เสียกำลังใจ やる気をなくす
④損をする(バクチに負けてお金などを取られる)
เสียพนัน バクチで損をする
⑤腐る
เสียแล้ว กินไม่ได้ 腐っていて食べられない
⑥死ぬ
เสียชีวิต 死ぬ
เสียใจと似た表現にเจ็บใจがあります。
เจ็บใจは、「เจ็บ=痛み」を伴う感情で、プライドを傷つけられたとか、人に裏切られたとかいうときの「くやしさを伴う感情」ということができます。
これに対してเสียใจは、試験に落ちたとか、仕事でうまくいかなかったとかいうときの「期待が叶わなくて残念だ」ということができると言えます。
例文を挙げます。
เจ็บใจมาก อีกแค่นิดเดียวก็จะชนะ
くやしいなあ あとちょっとで勝てたのに
ผมพูดแรงเกินไป ทำให้แฟนเสียใจ
僕はきついことを言って恋人を傷つけた
เสียใจที่สอบไม่ผ่าน
試験に合格しなくて残念だ
ขอแสดงความเสียใจ
お悔み申し上げます
桜咲く季節から2か月が過ぎました。
五月病や六月病のように、新しい環境になじめずに、心を痛めている人もいるかと思います。
職場や学校などで心ない言動を受けて、心を痛めている人もいるかと思います。
「本人の心が弱いから」との意見もありますが、けっしてそれだけが原因ではないのです。
いずれも周囲の同僚や仲間の協力があれば、乗り越えることができるのではないかと思うのです。
そう考えると非常に残念でなりません。
เสียใจ…
壊れた心を癒すためには、どんな手当てが必要なのか。
いつもそのことを考えています。
今回のコラムで使いましたタイ語表現は、以下の文献を参考にさせていただきました。
プログレッシブ タイ語辞典(傍士豊編著 小学館発行)
タイ日辞典(岡滋訓著 ボイス発行)
なお僕自身がただいま勉強中です。
誤字脱字などがありましたら、ご連絡いただければ幸いです。