タイの観光地であるプーケット県は7月1日、隔離期間なしでの観光客の受け入れを再開した。
タイ政府は新型コロナウイルスによって壊滅的な打撃を受けた観光業の復活を期待し、ワクチン接種済みの旅行者に限り、隔離期間なしで入国を許可する制度、いわゆるプーケット・サンドボックスと呼ばれる制度を導入した。
条件付きではあるが、隔離措置なしでの観光客の受け入れを再開したのである。
外国人観光客は到着時に専用のスマートフォンのアプリのインストールを求められ、その動きは政府機関の管理センターに追跡される。
また観光客が宿泊できるホテルは、政府の安全基準を満たした施設のみとなる。
しかしこうした制度がある一方、変異株の感染拡大で、タイ国内の新規感染者は引き続き発生しており、首都バンコクと近郊には感染対策の制限が課されている。
6月30日には、1日当たりの死者は、53人と過去最多となった。
懸念材料の多い中、政府は予定通りプーケット・サンドボックスを開始した。
プーケット県民の多くは観光の再開を待ち望んでいた。
タイを訪れる観光客は毎年約4000万人で、これが国内の経済を支えている
国内総生産(GDP)の約18%を観光業が占めるとも言われている。
国外からの観光客が消えたことは、経済的に大打撃と言える。
特にプーケットやスラータニーなど観光名所を多く持つ県での、被害は甚大だ。
新型コロナウイルス拡大の影響で、プーケットでは8割以上のホテルが休業しているという。
ここ1年ほどプーケットの白い砂浜は静けさの中にあったのである。
このプーケット・サンドボックスの導入のため、プーケット県民の3分の2は、ワクチンの接種を済ませたという。
日本での状況はどうかというと、東京では新規感染者が減る見込みは依然ない。
感染力が強いとされる変異株の拡大が大いに気になる。
またオリンピックの開催で外国からの人の流入が増加している点も気になるところである。
切り札とされるワクチンの接種は遅々として進んでいない。
タイ保健省が定める感染リスク評価で日本は「高リスク」に属している。
タイ人の目からは、日本は「危険」とみなされているのである。
プーケット・サンドボックスについても、タイ政府は日本からの渡航者はビジネス目的に限るとしている。
観光目的での入国は、ワクチン接種済みでも現時点では隔離検疫が必要な状況である。
こうしたニュースを見る限り、明るい兆しはまったく見えてこない。
感染の防止と経済の再生を両立させることは難しい。
感染拡大のためにあらゆる措置を講じていくことは必須である。
しかし、疲弊した経済を放置することもまた許されない。
健康でなければ経済活動もできないが、仮に経済が完全にストップしてしまえば、たとえ健康であっても、我々の生活は成り立たないのである。
このプーケット・サンドボックスは、今後スラータニー県のサムイ島、パンガン島、タオ島にも適用される見込みという。
経済再生のための政策は、今後も拡大されると思われる。
日本に住んでいる者にとって、海外への渡航など時期尚早な話に過ぎない。
我慢のときが続くのは仕方がない。
プーケットやスラータニー、クラビの海岸を懐かしく思う。
いつの日か、再び訪れることを夢見ている。
時間が困難を解決させてくれる。
こうした中で自分たちにできること。
それは個々人が感染防止に努め、ハイリスクな行動を慎むことなのである。