気候が温暖で、生活費も日本と比べると安価で暮らしやすい…
ロングステイ先では常に人気上位のタイ。
僕も将来は、長期滞在したいと真剣に考えているところです。
物価については以前にも書いたところですが(タイの物価は高いのか?ค่าครองชีพ https://ponce07.com/cost-of-living-1/)、特別な贅沢さえしなければ、リーズナブルな旅行が楽しめると思っています。
しかし、近年のタイの物価上昇や昨年後半の急速な円安の進行で、以前のような割安感がやや薄れつつあるのも事実です。
最近はタイに渡航することができずにいますが、現地のユーチューバーなどが発信している情報をこまめにみると、飲食店などでは、確かに割高になっている気もします。
モノの値段については、現地のスーパーやコンビニエンスストアなどの店頭を覗けば、だいたいのところは、うかがい知ることができるものです。
しかしながら、現地で働く人々のサラリーの側、つまり給与水準に照らして見るような機会は、ほどんどないのが実情でしょう。
現地の企業で働くサラリーマンの賃金相場がどの程度なのか、非常に興味のあるところです。
ここで示しました写真は、バンコクの中心街にある、行列ができるほど有名なカオマンガイの店「โกอ่างข้าวมันไก่ประตูน้ำ(ゴーアーン・カオマンガイ・プラトゥナーム)」(プラトゥナームの行列のできるカオマンガイ屋 https://ponce07.com/kaomunkai-pratunam/)の客席で撮影したものです。
求人広告のポスターです。
なかなか興味深いですね。
少し解説してみます。
พ่อครัว กุ๊ก เริ่มต้น 12,000-15,000
調理師(コック) 12,000~15,000バーツから
ไม่จำเป็นต้องมีประสบการณ์ 経験不問
ถ้ามีประสบการณ์จะพิจารณาเป็นพิเศษ
経験有りの場合は考慮します
※พิจารณา=検討する เป็นพิเศษ=特別に
พนักงานเสิร์ฟ เริ่มต้น 11,000+สวัสดิการ
ウェイター 初任給11,000プラス福利厚生
ここでいう初任給とは、日給ではありません。
もちろん月給になります。
それに加えて、目立つのが福利厚生についての記述です。
ポスターの左下に書かれている「充実の福利厚生!」(直訳としては「福利厚生と利益」となっています)
ここでは、自社の労働条件を積極的にPRしています。
สวัสดิการและผลประโยชน์ (※ผลประโยชน์=利益、利害)
เครื่องแบบพนักงาน 制服貸与
ประกันสังคม 社会保険有り
เงินทิป チップ有り
เบี้ยขยัน 勤勉手当有り
วันหยุดประจำสัปดาห์ 週休日有り
วันลากิจ 有給休暇有り
ค่าล่วงเวลา(OT) 残業手当有り
วันพักร้อนประจำปี 暑季休暇(有給休暇)有り
รางวัลอายุงาน 皆勤賞(永年勤続表彰)有り
ค่าเดินทาง(ตามความเหมาะสม) 交通費支給(規定による)
どれも、日本の労働環境からみれば、当たり前のようにも見えますが、わざわざこうして書いているところをみると、タイでの労働条件は、日本よりも厳しいものなのかもしれません。
タイでは大卒者の初任給が20,000バーツ程度と言われていますので、暑い厨房で働く調理師の初任給が12,000~15,000バーツ程度とはなかなかツラいものがあります。
こうして現地のサラリーから見れば、一回に一人1,000バーツを超えるような外食などは、旅行者だからできるのであって、彼らにとっては、まったく非日常的なものでしかありません。
ハレの日の晩餐…なのかもしれません。
旅行が長くなると、現地通貨を日本円に換算することをしなくなります。
モノの値段を円で考えるのではなく、現地通貨で考えるようになります。
「横のつながり」で考えられるようになるものです。
初めてタイに旅行に行った人は、目にするものの多くが「安価」に見えると思います。
次第にそれを現地の実情に置き換えながら、冷静に分析できるようになるものです。
そうしたことも、ビギナーの旅行者から中級者の旅行者に変貌する一つの目安なのかもしれません。