白い道 その6

やっと合点がいった。
この街にはタクシーというものがないのだ。
まったくないわけではないのだろうけれど、それはきわめて限定的で、一般市民が手軽に利用するものではないのだろう。
流しのタクシーを見かけないのもうなずける。
市内を循環する路線バスもない。
人々は、自分のバイクやクルマで移動するよりほかないのだ。
あとになって知ったのだが、公的な無料で利用できる救急車もない。
救急車が必要であれば、私立の病院が所有する救急車を直接呼ぶしかない。
公共の交通機関が乏しいということは、移動は全て自己責任だ。
ハイリスクではあるけれども、逆にこういう状況であるからこそ相互扶助の意識も生まれてくるのだろうか。
日本では「白タク」行為は当然にご法度だが、この街では立派なボランティアなのだ。
市民の安全と安心のため、無料の救急車が行き交う日本。
誰もがそれを当たり前と考えている。
しかし、救急出動の3台に1台は緊急性に疑問が残る利用と言われている。
複雑な気持ちが脳裏をよぎる。

白い道 その7
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