東南アジアから渡ってきた猫たち

長崎の街を歩くと猫をよく見かけます。
「猫の街」と呼ばれるほど、猫の生息数が多いのです。
温暖な気候、港町、斜面地、狭い路地が多いこと…などなど。
こうした様々な要因が、長崎を「猫の街」にしてきたのです。
その意味では、長崎は猫にとっては過ごしやすい環境だと言えるのかもしれません。

僕自身、かつては仕事柄、斜面地にある住宅街をよく歩いていていました。
細い路地を通ると、しばしば猫の姿に出くわします。
その一方で、ペットボトルなどを使って作った「猫除け」を設置している民家も多いのです。
繁殖した猫と人間は、微妙な関係になっているのが事実なのです。

商店街の中にも普通に歩いています

 

長崎の猫が持つもう一つの特徴は、いわゆる「尾曲がり猫」が多いということ。
尻尾が長くまっすぐになっている猫はあまり多くないのです。
「尾曲がり」と言ってもその形状は「カギ型」や「短尾型」、「ダンゴ型」など、様々タイプがあります。
この「尾曲がり猫」が生まれる要因は、言うまでもなく遺伝です。

縁起の良いとされる尾曲がり猫にあやかった「猫グッズ」は多い。

 

かつてこの「尾曲がり猫」を調査した学者がいました。
京都大学名誉教授の野沢謙先生です。
野沢先生の調査によると、長崎県内の猫の8割近くが、この「尾曲がり猫」であることがわかりました。
ほかに、鹿児島県、宮崎県、熊本県など、九州の各県でも、「尾曲がり率」は全国平均に比べて、突出して高いことがわかっています。
また、野沢先生は、この研究の過程で、尾曲がり猫のルーツの多くは東南アジアで、なかでもインドネシアに多く生息することを突き止めていたのです。
このインドネシアと長崎を結ぶ線は、何だったのでしょうか。

江戸時代の初め、南蛮貿易が盛んな頃は、多くの外国船が九州各地に来航していました。
その後、寛永期以降は、長崎のみが唯一開かれた街となります。
長崎には、オランダ船が定期的に、行き来するようになります。
当時のオランダは、インドネシアを支配下に置いていて、総督府はバタヴィア(現在のジャカルタ)にありました。
貿易を担った東インド会社の商館が置かれていたのも、やはりバタヴィアだったのです。
当時の貿易船には、猫を乗せる習慣がありました。
積み荷の食料品や木造の船体をかじるネズミなどの小型の齧歯動物は、船乗りたちにとっては厄介者でした。
この厄介者を駆除してくれたのが猫だったのです。
こうしたことから、貿易船に猫を乗せる習慣が広まったのです。
はるか遠い東南アジアの地から、長い船旅に揺られてきた猫たち。
こうした猫たちが降り立ったのが長崎だったのです。

しかし、時代は流れ、船は鋼鉄製になり、積み荷の梱包やネズミ駆除の技術が進み、猫たちは「お払い箱」になってしまいます。
かつてのように、貿易船に乗せられて、長い航海に出ることはなくなりました。
長崎の地に降り立った猫たちは、その地に根をおろし、繁殖して今に至っているのです。

長崎の猫たちは、もともとは野生動物だったわけではないのです。
人々が飼い馴らし、船乗りたちに重宝され、可愛がられてきた存在だったのです。
身近にいる、いわゆる「野良猫」と呼ばれる飼い主のいない猫も、かつては重宝され、可愛がられてきた猫の末裔なのかもしれません。
猫の放し飼いや、野良猫への無責任な餌やり行為は、野良猫の繁殖を増やし、それが住民との軋轢を生んで、結果として不幸な猫を生じさせる原因になっている悲しい現実があります。
猫を飼おうとするのであれば、最大限の愛情をもって、適正に飼育していただきたいと思います。
そして、かつてのように人と猫がうまく共存していた社会を実現させなければならないと考えます。

我が家の猫は長いしっぽ。長崎では少数派。

ネクタイ เน็คไท

毎日身に着けるファッションアイテムのひとつで、欠かすことのできないのが「ネクタイ」です。
スーツにネクタイは、現代のサラリーマンにとっての定番の「制服」とも言えます。

ネクタイの起源については数々の諸説があります。
古代ローマ時代、兵士たちは「フォーカル」と呼ばれる、防寒とお守り、2つの役割を持った布を首に巻いて戦地へ向かったという説があります。
男たちの出征に際し、妻や恋人たちは、無事を願って布を贈ったのでした。
また、装飾品としてのネクタイについては、フランスのルイ13世の説が有名です。
17世紀ごろ、クロアチアからルイ13世の護衛のためにフランスに来ていた兵士が首に巻いていたものが現在のネクタイの起源とされています。
その当時はクラバットと呼ばれており、ネクタイというよりもスカーフに近いものでした。
ルイ13世がクラバットを取り入れたことで、宮廷人や富裕層の間で流行し、様々なスタイルのクラバットが生み出され、ヨーロッパ各地に広まっていきました。

日本では明治に入り、文明開化が進むにつれて、着物などの和服から洋服へと、服装も大きく変わっていきました。
政府の要人、軍人などは制服として洋服を着るようになっていきます。
ネクタイもそのころに着用されるようになります。
国産のネクタイでは、1884年(明治17年)に東京の小山梅吉という帽子商が、帽子の布を使って作った蝶ネクタイが、国産のネクタイ第1号だと言われています。
大正時代に入ると、現在の一般的なネクタイである、細長いタイプのものが普及し始めます。
時代は昭和に移り、ネクタイはスーツとともにサラリーマンの必需品ともいえる存在になりました。
しかし、近年になり、そのネクタイに“冬の時代”が到来しました。
「クールビズ」です。

環境省の呼びかけで始まったクールビズは、冷房によるエネルギーの使用量を抑えるため、室温を、28度を目安に設定し、その中でも快適に過ごすことができるよう、ネクタイや上着をなるべく着用しない軽装の服装を推奨したのです。
省エネルギー対策の一環として、真夏を中心に、1年の半分近くはネクタイをしない「ノーネクタイ」が定着することになります。
ネクタイは敬遠され、売れ行きは一気に落ち込んでしまいます。
廃業に追い込まれた老舗のネクタイメーカーもありました。
環境保護のためのキャンペーンですから、これ自体に異を唱えるつもりは、毛頭ありません。
しかし、僕が思うに、ネクタイを外したからと言って、それほどまでに体感温度が下がるのか、正直なところよくわかりません。
外から職場に入ってすぐは、確かに暑く感じます。
とはいえ、一応冷房が効いている室内なのです。
うちわで数分扇いでいるうちに、暑さは引いていくものです。
むしろ、胸元を開けた服装が、どうしても「しどけなく」感じてしまうので、僕自身はたとえ真夏であってもネクタイを外したくないのです。

常夏のタイでは、ネクタイを締めている人は少数派です。
一年の大半が、蒸し暑い気候なのですから、それは当然と言えるのかもしれません。
しかし、正装はやはりスーツにネクタイです。
バンコクの街中で、半袖のTシャツに短パン、ビーチサンダルで歩いているのは、きまって外国人観光客です。
現地の人々は、都会の街中では、そのような恰好を好みません。
暑い国だからこそ、折り目のきちんとついたワイシャツにネクタイを締めているサラリーマンが、信頼されるのです。
先代の国王陛下が崩御されて国民が喪に服しているときに、王宮を訪れたことがあります。
献花に訪れたのでしょうか。
タイでは喪服を着る文化はないと言われていますが、ここには黒の礼服に黒のネクタイを締めた人々の姿が確かにありました。
特別な事情とはいえ、この暑さのなかで、こうした正装をするのは、大変なことと察します。

この写真は、フワランポーン駅 (สถานีรถไฟกรุงเทพ)のコンコースで撮影したものです。
仕事帰りにそのまま空港近くの宿に泊まり、翌朝早くにバンコクに向かったときのことでした。
こんな服装の観光客はほぼいないことと思いますが、僕にとっては、なんら違和感のない日常なのです。
久しぶりに降り立つ「天使の都」。
しどけない恰好は似つかわしくありません。
いつしか入国審査のときは、ネクタイを締めた「正装」をするのが習慣になりました。



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ดอกไม้กับความเชื่อ 花と信仰

バンコク在住の知人が、美しい写真を送ってくれました。
ハス園の写真です。
このハス園は、バンコクの郊外、パトゥムターニー県にある、ラチャモンコン工科大学タンヤブリ校(Rajamangala University of Technology Thanyaburi)のなかにある植物園になります。http://www.lotus.rmutt.ac.th/

こんなにも美しいキャンパスで勉強できる学生を、とてもうらやましく思います。

タイでは、ハスの花はとても大切にされます。
それは、仏教と深い関係があるという理由からです。

花に対する意識や考え方は、国や民族、それぞれの文化によって異なるものです。

今回は、タイの人々の花に対する信仰と考えについて、少し紹介いたします。

โดยทั่วไป คนไทยถือว่าดอกบัว เป็นสัญญลักษณ์ของพุทธศาสนา จึงใช้เป็นดอกไม้หลักในการบูชาพระ ดอกบัวในเมืองไทยมีมากมายหลายชนิด และมีชื่อเรียกต่าง ๆ กันไป และชื่อเหล่านั้นก็มักนำไปตั้งชื่อให้ลูกสาว เช่น บัวเผื่อน บัวผัน ปทุม ปัทมา บงกช เป็นต้น
一般的にタイ人は、ハスの花を仏教の象徴として考えます。そして、ハスは僧侶に対してお供えするときの花として使われることが多いです。 タイにはたくさんの種類のハスがあります。ブア・プアン、ブア・パン、パトゥム、パタマー、ボンコットなどです。これらは、しばしば女子の名前としてもよく使われているのです。

ดอกมะลิเป็นเครื่องหมายของความบริสุทธิ์ เปรียบได้กับความรักของแม่ คนไทยจึงใช้เป็นดอกไม้ให้แม่ในวันแม่ ส่วนดอกซ่อนกลิ่นเป็นดอกไม้สีขาวเช่นกัน แต่ตามปกติคนไทยจะใช้ดอกไม้ชนิดนี้ในงานศพเท่านั้น ไม่นิยมนำไปเป็นของขวัญให้ใคร เวลาพูดถึงดอกซ่อนกลิ่นจึงชวนให้นึกถึงความตาย ส่วนดอกลั่นทมเป็นดอกไม้ที่สีสวย กลิ่นก็หอมแต่จะเห็นปลูกตามวัดหรือสถานที่ราชการต่าง ๆ ไม่มีใครนำมาปลูกในบ้าน เพราะคำว่า “ลั่นทม” ออกเสียงคล้ายกับ “ระทม” ซึ่งคนไทยถือว่าไม่เป็นมงคล
ドーク・マリ(ジャスミン)の花は純粋さの象徴として考えられています。 それは母に対する愛情に匹敵するほどです。それで、タイでは母の日に、母へ贈る花として愛用されています。 ドーク・ソーンクリン(チューベローズ)の花も同じく白い花ですが、普通タイ人はこの花を葬式でのみ使います。 贈り物として誰かに持っていくのは一般的ではありません。 ドーク・ソーンクリンと言えば、それは死を連想させてしまうのです。また、ドーク・ラントム (プルメリア)の花は美しい色で、香りのいい花です。しかしこの花は、お寺や役所などには植えられているものの、家に植える人は誰もいません。それは「Lan Thom」という言葉が、「Ra Thom(「悲しむ・悲痛になる」の意味)」と発音が似ており、タイ人は縁起がよくないと考えているためです。

นอกจากนี้ยังมีดอกไม้อีกชนิดหนึ่งที่รูปและสีสันสวยงาม แต่คนไทยค่อนข้างมีอคติกับดอกไม้ชนิดนี้ทั้ง ๆ ที่ชาวมาเลย์ถือเป็นดอกไม้ประจำชาติ และชาวเกาะต่าง ๆ ในมหาสมุทรแปซิฟิกนิยมนำมาประดับร่างกาย ดอกไม้ชนิดนั้นคือ”ดอกชบา” คนไทยรับเอาคติความเชื่อเกี่ยวกับดอกชบามาจากอินเดียตั้งแต่สมัยสุโขทัย อินเดียใช้ดอกชบาบูชาเจ้าแม่กาลี ร้อยเป็นพวงมาลัยสวมคอนักโทษประหาร กฎหมายไทยในสมัยอยุธยาระบุไว้ว่าใช้ดอกชบาสีแดงทัดหูประจานหญิงแพศยา ด้วยเหตุนี้คนไทยจึงไม่นิยมดอกชบานักทั้ง ๆ ที่ดอกสวย และสีสดใส
このほかにも美しい形と色を持つ花があります。 マレーシアでは国花とされ、また太平洋の様々な島の民が身体に飾るのに好まれているのにもかかわらず、タイの人々はこの花に対してかなり偏見を持っています。その花は「ドーク・チャバー(ハイビスカス)」です。タイの人々は、スコータイ時代から、インドから来たハイビスカスの花についての信仰を取り入れてきました。インドでは、女神・カーリー※に供える花としてハイビスカスを使いますが、タイでは、花輪を作り死刑囚の首にかけるのに使われました。 アユタヤ時代のタイの法律では、赤いハイビスカスの花を耳にさして、娼婦をはずかしめることを規定していました。 このため、タイの人々は、はなやかな色と美しさを持つ花であるにもかかわらず、ハイビスカスの花を好まないのです。

※女神・カーリー = 凶暴な性格を持ち、破壊と殺戮の象徴とされる女神。


今回使用させていただきました宮本マラシー先生の「タイ語上級講座 読解と作文」は、タイの文化を比較的わかりやすい表現で紹介されているもので、大変参考になります。


なお僕自身がただいま勉強中です。
誤字脱字や誤訳などがありましたら、ご連絡いただければ幸いです。


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タイ現地採用で働く日本人の一日

前回のコラムで、タイ現地での求人広告について触れてみたところです。
タイに関する情報を発信しているバンコク在住のユーチューバーである「TJさん」の動画で、最近とても興味深い情報がありましたので、ここで紹介してみたいと思います。
この動画は、現地の日系企業で働き始めた若い日本人サラリーマンの一日を追ったレポートになります。


TJ Channel Thailand【海外転職】タイ現地採用で働く日本人に1日密着!!

https://www.youtube.com/watch?v=h8I8ZQz9G1

この30歳台の若いサラリーマン。
チョンブリー県に現地法人と工場がある、特殊鋼のメーカーに勤めています。
かねてから海外での勤務を希望していたこともあり、旅行で何度か訪れていたタイへの転職を決めたといいます。
業務内容は、タイ国内の日系企業への営業です。
タイは、メーカーの工場が数多くあり、主に自動車部品の工場への特殊鋼のセールスを手掛けているのだそうです。
営業職ではありますが、顧客に届ける金属の加工が、注文通りに仕上がっているかの確認は怠りません。

まず驚かされたのは、専用の送迎車が用意されていること。
しかも運転手付きという。
毎日の通勤はもちろん、お得意先を訪問するときにも使う、専属の送迎車になります。
東京にいる頃は、毎日混雑した通勤列車に揺られながら、会社勤めをしていたとのことですから、この待遇には驚いたといいます。

語学については、本人は、タイ語も英語も得意ではないと語っています。
営業先は、日系企業なので、言葉の障壁はありません。

住居については、バンコクにあるコンドミニアムを借りているそうです。
コンドミニアムについては、東京よりも安価で良質の部屋を借りることができます。
ジムやプールのついたコンドミニアムでも、立地条件にもよりますが、10,000バーツ程度から借りることもできるのです。

この日は、午後6時前には、帰宅しており、普段も「このくらいの時間には帰れる」と言います。
土日は休めて、残業もあまりなく、労働環境には恵まれているようです。
そして最後に、「お給料の額」を公開しています。
かつては、現地採用は「キツい割に給料は格安」と言われていましたが、決してそうではないことがわかりました。
時代は確実に変化しているのです。

現地採用で就労ビザ(労働許可)を受けるために必要な収入は、1か月あたり50,000バーツ以上が原則と言われています。
例外的に投資推奨対象である企業は、就労ビザの取得条件が緩和されるため、コールセンターなどの求人では30,000バーツ程度でもビザを取得することもあるそうですが、基本的には50,000バーツ以上の初任給が必要になります。
バンコクでの生活費を考えると、月収が50,000バーツあれば、そこそこゆとりを持った生活ができるのではないかと思います。

もちろん、慣れない異国で仕事をする以上は、何かと気苦労も絶えないところとは察します。
誰もかれもがうまくいくわけではありません。
それでも、この若いサラリーマンのように、チャレンジ精神を持った日本人が多くいることに、感動です。
そしてなによりも、この青年の表情がいいです。
道は始まったばかりなのかもしれませんが、満足のいく人生を送っているということが、その表情からうかがえます。

日本で働くということは、手厚い社会福祉と良質のサービスに護られた生活を送ることができるのは確かであると思います。
しかし、その一方で、高額の社会保険料を負担しなければならないことは避けて通れません。
しかも、少子高齢化が進展している日本では、さらなる負担が求められるのは必至です。

そんな中、いろいろなリスクを承知でも、海外への転職にチャレンジしていくバイタリティには、感動です。
こうした志の高い若者が増えていけば、日本も、アジアの国々も、もっと元気になれるのかもしれません。

 


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รับสมัครงาน 求人広告から見るタイの労働事情

気候が温暖で、生活費も日本と比べると安価で暮らしやすい…
ロングステイ先では常に人気上位のタイ。
僕も将来は、長期滞在したいと真剣に考えているところです。

物価については以前にも書いたところですが(タイの物価は高いのか?ค่าครองชีพ https://ponce07.com/cost-of-living-1/)、特別な贅沢さえしなければ、リーズナブルな旅行が楽しめると思っています。
しかし、近年のタイの物価上昇や昨年後半の急速な円安の進行で、以前のような割安感がやや薄れつつあるのも事実です。

最近はタイに渡航することができずにいますが、現地のユーチューバーなどが発信している情報をこまめにみると、飲食店などでは、確かに割高になっている気もします。

モノの値段については、現地のスーパーやコンビニエンスストアなどの店頭を覗けば、だいたいのところは、うかがい知ることができるものです。
しかしながら、現地で働く人々のサラリーの側、つまり給与水準に照らして見るような機会は、ほどんどないのが実情でしょう。
現地の企業で働くサラリーマンの賃金相場がどの程度なのか、非常に興味のあるところです。


ここで示しました写真は、バンコクの中心街にある、行列ができるほど有名なカオマンガイの店「โกอ่างข้าวมันไก่ประตูน้ำ(ゴーアーン・カオマンガイ・プラトゥナーム)」(プラトゥナームの行列のできるカオマンガイ屋 https://ponce07.com/kaomunkai-pratunam/)の客席で撮影したものです。

求人広告のポスターです。
なかなか興味深いですね。
少し解説してみます。

พ่อครัว กุ๊ก เริ่มต้น 12,000-15,000
調理師(コック) 12,000~15,000バーツから
ไม่จำเป็นต้องมีประสบการณ์  経験不問
ถ้ามีประสบการณ์จะพิจารณาเป็นพิเศษ
経験有りの場合は考慮します
※พิจารณา=検討する เป็นพิเศษ=特別に

พนักงานเสิร์ฟ เริ่มต้น 11,000+สวัสดิการ
ウェイター 初任給11,000プラス福利厚生

ここでいう初任給とは、日給ではありません。
もちろん月給になります。

それに加えて、目立つのが福利厚生についての記述です。
ポスターの左下に書かれている「充実の福利厚生!」(直訳としては「福利厚生と利益」となっています)
ここでは、自社の労働条件を積極的にPRしています。

สวัสดิการและผลประโยชน์ (※ผลประโยชน์=利益、利害)

เครื่องแบบพนักงาน  制服貸与
ประกันสังคม  社会保険有り
เงินทิป  チップ有り
เบี้ยขยัน  勤勉手当有り
วันหยุดประจำสัปดาห์  週休日有り
วันลากิจ  有給休暇有り
ค่าล่วงเวลา(OT)  残業手当有り
วันพักร้อนประจำปี  暑季休暇(有給休暇)有り
รางวัลอายุงาน  皆勤賞(永年勤続表彰)有り
ค่าเดินทาง(ตามความเหมาะสม)  交通費支給(規定による)

どれも、日本の労働環境からみれば、当たり前のようにも見えますが、わざわざこうして書いているところをみると、タイでの労働条件は、日本よりも厳しいものなのかもしれません。

タイでは大卒者の初任給が20,000バーツ程度と言われていますので、暑い厨房で働く調理師の初任給が12,000~15,000バーツ程度とはなかなかツラいものがあります。

こうして現地のサラリーから見れば、一回に一人1,000バーツを超えるような外食などは、旅行者だからできるのであって、彼らにとっては、まったく非日常的なものでしかありません。
ハレの日の晩餐…なのかもしれません。


旅行が長くなると、現地通貨を日本円に換算することをしなくなります。
モノの値段を円で考えるのではなく、現地通貨で考えるようになります。
「横のつながり」で考えられるようになるものです。

初めてタイに旅行に行った人は、目にするものの多くが「安価」に見えると思います。
次第にそれを現地の実情に置き換えながら、冷静に分析できるようになるものです。
そうしたことも、ビギナーの旅行者から中級者の旅行者に変貌する一つの目安なのかもしれません。


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2022年を振り返ってみると…

大晦日になりました。

あわただしく仕事に追われている人も、やっと年末年始の休みに入れたことと思います。

おつかれさまでした。

 

さて今年2022年を振り返ってみます。

3年前に始まったコロナ禍は、依然猛威を振るっているように感じます。

今年に入ってからは、移動の制限が少しずつ緩和され、秋以降からは、海外の渡航も一部再開されるようになりました。

僕の職場でも、出張の機会が大幅に増えました。

また、全国旅行支援と銘打った旅行代金の割引と地域クーポンを付与する新しい観光需要喚起政策も始まりました。

 

タイの入国制限については、大幅に制限が緩和され、観光目的での入国も可能になりました。

7月以降は、タイランドパスの申請と保険加入義務が廃止され、さらに10月以降の入国はワクチンの接種証明や陰性証明も不要になりました。

有効なパスポートさえあれば、基本的に制限なく入国することが可能になったのです。

待ちに待った自由化ではありますが、その後新規感染者数は、またまた増加して、「第8波」と言われる事態になっています。

年末に近づき、都内では連日2万人を超える新規感染者が出るなど、まだまだ安心できる状況ではありません。

減便を余儀なくされていた航空便も、再開し始めました。

日本とタイを結ぶ航空路線も、LCCを含め少しずつですが、再開し始めました。

とはいえ、航空賃はまだまだ高値水準です。

福岡空港では、保安検査に従事する職員数が足りず、搭乗を待つ人々の長い行列ができているというニュースも聞こえてきました。

空港の保安検査場に長蛇の列 なぜ? 年末年始の移動にも影響?https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221227/k10013935691000.html

コロナ禍で旅行者が激減したために、やむなく職場を去っていった人々が多数いて、規制緩和で旅行需要が戻ってきても、すぐに元の人員を確保することができず、たくさんの利用者に対応できないのです。

福岡空港には、羽田空港や伊丹空港、関西国際空港などにあるスマートレーン(複数の利用者が同時に検査を受けることのできる自動化レーン)が整備されていないこともあり、混雑の解消は困難な状況です。

規制緩和により旅行者は戻ってきていますが、混乱はしばらく続きそうです。

とはいえ、ようやく明るい兆しが見え始めたのは事実でしょう。

来年こそは、本格的に旅行者が戻ってくることになるでしょう。

長く続いたコロナ禍で大打撃を受けた観光業界が立ち直るのには、まだ時間がかかることと思われます。

 

クラビやサムイ島で過ごした日々がいまでも思い出されます。

あの美しい海は、いまどうなっているのか…

観光業界の人々が受けた深い傷は、簡単には癒されないと思われます。

いち早く彼らに笑顔が戻ってくる日を心から願っています。

今年の個人的な最も大きな変化は、猫と共に生活するようになったこと

 

美しい海を守るために…マイクロプラスチックの被害について

昔から海が好きで、これまでも沖縄やセブ島など、美しい海を見てきました。

熱帯魚を呼び寄せる方法(https://ponce07.com/tropical-fish/

これまでに見た海で、一番きれいで、一番好きな海は、タイのクラビ県のロック島です。
このブログのトップページに使っている写真は、そのロック島で撮影したものです。

こういうきれいな海を目にすると、本当に心が洗われるような気がします。
この風景がいつまでも続いてほしい、いつまでもきれいな海であってほしいと願うのは当然のことです。
しかしながら、世界の多くの海岸は、漂着する大量のごみの「被害」に遭っています。
海岸漂着ごみは、景観を損なうだけでなく、漁業へ悪い影響を及ぼし、さらには海の生態系をも破壊してしまう怖い存在です。
また、時として国境を超える厄介な問題でもあります。
僕の住んでいる長崎県では、海岸漂着ごみの多くは、外国からの漂着物といわれています。
対策は、グローバルな視点で考えていかなければいけないことになります。

海岸漂着ごみのなかでもとりわけ深刻な問題は、マイクロプラスチックと呼ばれている粒子の細かいプラスチックの存在です。
マイクロプラスチックとは、プラスチック製品が砕けて粉々になったものや、洗顔料や歯磨き粉、化粧品などに含まれているスクラブ剤などマイクロプラスチックビーズと呼ばれているものです。
マイクロプラスチックは、海の中で溶けることなく存在し続けるため、海洋生物の生態に大きな影響をもたらします。

魚や海鳥、海洋哺乳類などの海洋生物が、海水に混ざったマイクロプラスチックを吸い込んでしまいます。
マイクロプラスチックは消化できないため、消化不全や胃潰瘍などを引き起こし、海洋生物の命を奪う結果になってしまうのです。

さらには、サンゴが吸引してしまうことで、サンゴ礁の死滅(白化現象)が起きていることもわかってきました。

プラスチックは、安価で製品に加工しやすいなどの利点があるので、これまで世界中で様々な製品に使われています。
レジ袋やペットボトル、商品のパッケージなど、使い捨てにされるプラスチックもたくさんあります。
洗顔料や歯磨き粉、化粧品などに含まれているスクラブ剤にもプラスチックは使われていました。
粒子の細かいプラスチックなので、下水処理の過程で除去されることなく、そのまま海中に流入してしまうのです。
そうしたプラスチックごみが、河川に入り、やがて海に流れ出てしまいます。
海に流れ出たプラスチックのごみは、潮の流れや風の力によって海中に浮遊して遠くまで運ばれたり、海底に沈んだりして、長く海中に漂うことになります。



このような、マイクロプラスチックによる被害の防ぐためには、早急な対策が必要です。

マイクロプラスチックの弊害が知られるようになってから間もなく、欧米諸国などはスクラブ剤(角質除去や清浄を行うもの)について、その製造を規制するようになりました。

日本国内では、企業努力によって対策は進み、マイクロプラスチックビーズの多くは、すでに分解可能なプラスチックや生物由来の原料に代わってきています。
僕が普段使っている洗顔料のメーカーのホームページを見たところ、このメーカーはすでにすべての製品に代替原料を使用しており、マイクロプラスチックビーズを使用していないとのことでした。
また、環境省が2020年に行った調査によると、日本国内の主要なメーカーの製品のサンプリング調査を行った結果、洗い流し製品においてスクラブ剤としてマイクロプラスチックビーズを使用しているものは確認されなかった、と発表しています。
https://www.env.go.jp/press/109544.html

マイクロプラスチックの被害を抑えるために、私たちにできることはなんでしょうか。
まずは、プラスチックの使用を抑えることが求められます。

もし、スクラブ剤としてマイクロプラスチックビーズを使用しているものがあれば、すぐに使用をやめることは当然です。

また、マイバッグを持参し、レジ袋はもらわないこと。

マイボトルを持ち歩き、プラスチックのカップを減らすといったことは、身近なところから始められるエコアクションと言えます。

日本は、一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量が世界で2番目に多い国と言われています。
私たち一人ひとりが毎日の暮らしの中で、プラスチックごみを減らす取組をしていくことが重要です。

それに加えて大切なことは、プラスチックごみを適切に処理することに留意しなければなりません。

海や川など屋外のレジャーで出たごみは、持ち帰って処理するようにしなければなりません。

使用後の使い捨てコンタクトレンズは、排水管に流すようなことはしてはならないのです。

 

美しい海を保全して、次の世代に末永く引き継いでいくことは、現在の私たちに課せられた大切な責務なのです。

 

街角で出会ったスコールのこと

タイ気象局は、今日10月29日に雨季が明けて、冬に入ったと発表しました。
冬と言っても、日本の冬とはまったく異なりますが、それでも気温はある程度下がり、比較的に過ごしやすい季節となります。
タイの雨季は4月下旬~10月。
その後、11月~2月あたりまで、乾季が続きます。

僕がこれまでにタイに訪れたのは、いずれもこの乾季でした。
学生時代に初めて、バンコクとチェンマイに来たのは、2月から3月にかけてです。
その後は、サラリーマン生活を送っていることから、休暇の取りやすい年末年始に旅行することがほとんどでした。
その意味で、雨季というのを知らずにこれまで来ているのです。
もちろんせっかく観光にきたのに、天気の良くない日が続けば、それは面白くはないでしょう。
雨季が観光に不向きであるのは、当然といえば当然です。
しかし、将来は単なる観光ではなく、生活者の目線でタイと接していきたいと考えていますので、本格的な雨季のなかで、どのように過ごしていくのか、非常に興味のあるところです。
連日のようにスコールが続くような気候は、なにかと不便なことが多いのは事実ですが、いつかは、この時期でのタイ生活も経験したいと思っています。

かつて一度、スコールに遭ったことがあります。
それは、学生時代にチェンマイで経験したことです。

チェンマイ1991 เชียงใหม่ ๒๕๓๔ https://ponce07.com/chiang-mai%e3%80%801991/

その時期は乾季でしたが、まれにスコールが発生することもあるのでしょう。
旧市街の屋台の立ち並んでいる通りを歩いていたときのこと。
路上に陳列台を置いて、履物や雑貨、衣類などを売っている商人が、急に商品を片付け始めました。
それも、手早く片付けています。
ある者は、商品に大きめのビニールをかけて覆い始めました。
「何が始まったのか?」
事態が呑み込めません。
それからほどなくして、晴れていた空が、にわかに曇り始めました。
通りに出ていた人々は、足早に建物の中や軒下に移動していきます。
普段は、のんびりと歩いていることが多いタイ人ですが、このときばかりは、小走りに動きます。
何が起こるのか、そのときまで気づきませんでした。
その直後、雨が降り始めました。
それも、かなりの勢いです。
ついさっきまで、きれいに晴れていた空が、一瞬にして豹変したのです。
僕も、現地の人々と同じように、商店の軒下に走りました。
土砂降りの状態のことを「バケツをひっくり返したような大雨」と言いかたをする時がありますが、まさにそういう表現にふさわしい激しい雨です。
通りを歩く人は誰もいません。
日本国内であれば、傘をさして歩く人が何人かはいるのでしょうが、このときは、傘をさして歩いている人は皆無でした。
もっとも、これほど激しく降る雨の中では、仮に傘があったとしても、それはほとんど役に立たないことは明らかです。
それにしても、このスコールの始まりを、僕はまったく予見できませんでした。
地元民は慣れているのか、スコールが始まることを、直前に感づいて、素早く行動しているのです。
「オレにはまったく読めなかったな」というのが率直な感想でした。

激しい雨は、まだまだ続きます。
空は薄暗く、雨のやむ気配はありません。
たまたま駆け込んだ軒先の店は、喫茶店でした。
ずっと外に立たされるのも疲れるので、その喫茶店に入ることにしました。
扉を開けて中に入ると、コーヒーのいい香りが漂ってきます。
本格的なコーヒーを淹れてくれる喫茶店は、いまでこそたくさん見られますが、当時はまださほど多くなかったのです。
久しぶりに、格別の一杯を味わうことができました。
それも、スコールがもたらしたまったくの偶然に…
店を出ると、雨は既に止んでいました。
空は再び晴れ渡っています。
通りの屋台も、商品を陳列し始めて、営業再開です。

このスコール体験は、いまでも深く記憶に残っています。
普段はどちらかと言えばのんびりしているタイ人が、これほどまでに俊敏に動いているのを初めて見ました。
多くのタイ人は、傘を使わないことも初めて知りました。
偶然に、お気に入りの喫茶店を発見できた幸運も知りました。
こうしたことは、メディアを通じて得た知識だけでは、なかなか実感がわかないものです。
現地で実際に体験してみて、初めて理解できることなのです。

コロナ禍が明け、本格的に渡航が再開しつつあります。
実際に現地に足を運び、現地の文化を自身の目で見て、肌で感じる…
この当たり前の感覚を、これからも大切にしていきたいと思います。

 


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旅先の治安について…リスクは自分で避けるもの

新聞報道によると、政府は来月11日から水際対策を大幅に緩和するとのこと。
外国人の短期滞在ビザの免除を再開するほか、国際線の受け入れも拡大させるということです。
実質的な海外旅行自由化の再開が、現実味を帯びてきたと言えるでしょう。
タイへの渡航再開も、そう遠くない日に実現するかもしれません。

海外に旅行に行くときに、気になることの一つに、現地の治安の良し悪しがあると思います。
国内と違って、海外は怖いというイメージを持っている人は少ないと思います。
僕自身も、学生時代からいままでに、14の国や地域を旅行した経験があります。
よく聞かれるのが、この治安についてです。
「怖い目にあったことない??」
「盗難にあったことは??」
など、しばしば聞かれるところです。

結論から言いますと、そのような盗難被害や恐ろしい目に遭遇したことは、全くありませんでした。
ただ一度、スリの被害に遭いそうになったことがありました。
それは中国のある地方都市での出来事でしたが、バスに乗っているときに出くわしました。
ひどく混んだ車内で、吊革につかまって立っていたのですが、肩にかけていたショルダーバッグに、「手」が伸びてきたのでした。
一瞬のことでしたが、腰のあたりに違和感を感じて、素早く体を回転させて、その「手」を捕まえました。
「手」は混みあった車内に立つ乗客の間を、逃げていこうとしましたが、こちらは握っていた拳を緩めることはありません。
むしろ、握っている拳により一層力を込めて、渾身の力でその「手」を引き寄せました。
その「手」は、老婆の手でした。
怒りがこみあげてきて、日本語で怒鳴り散らしたのを覚えています。
しかし、相手が相手だし、こちらの表情がよほど怖かったのか、小刻みに震えているのが見えました。
それ以上責めても仕方ありませんので、「釈放」したのです。
その一件は、特段の実害もなく終わったのですが、こんなことに遭ってしまうと、その街の印象自体が悪くなってしまいます。
とても残念なことです。
しかし、こちらに甘さがあったのも事実です。
スリに目をつけられてしまう行動だったのでしょう。
それからは、街歩きのときに使うショルダーバッグは、たすき掛けの要領で、斜めに掛けるようにしています。

こうした犯罪が多発するところ、しないところの差はどこにあるのか。
その後の旅先でも、そのことを考えるようになりました。
しばしば「民度が低い」というような言い方もされますが、小さい犯罪が多発する地域は、おしなべて住民の質が悪い地域です。
通りを歩いていても、ゴミの投げ捨てなどが目立ちます。
公共の交通機関を利用しても、目につくのは行儀がよろしくない乗客ばかりです。

タイの場合はどうでしょうか。
僕は、タイではそのような不快な思いをしたことは、ほとんどありません。
宗教観の違いなのか、タイ人の多くは、他人の迷惑になる行為は、「恥ずべきこと」という認識を持っているようです。
もちろんすべての人がキチンとしているわけではないのでしょう。
しかし、「恥の文化」ともいえる、そういった考え方は、多くの日本人と似通っていて、タイへ旅行に来ても、ストレスに感じることが少ないのです。
写真は、サムイ島にあるショッピングモールの中にある大手のスーパーです。

治安が悪い地域なら、これは成り立たない。


セルフレジがあるのがわかります。
万引きの多い、治安の悪い地域であれば、セルフレジのようなシステムは成立しないことでしょう。

そんなタイでも、痛い目にあった旅行者もいないわけではありません。
僕が学生時代に初めてタイに来た時ことです。
もうかれこれ30年前のことになります。
そのとき、旅行者の多く集まる「カオサンロード」に泊まっていました。
当時広く読まれていたガイドブックである「地球の歩き方」に掲載されていた、犯罪の手口と全く同じようなことが目の前で起こりました。
その手口とは…
旅先で話しかけてくるのは、若い女性。
カタコトの英語で話しかけてきます。
なぜかきまって「シンガポールから来た」と言います。
学生の旅行者を捕まえては、話しかけてくるのです。
「どこに泊まっているの?」
「そこは1泊いくらなの?」
いかにも、自分も旅行者の一人のような雰囲気で話しかけてくるのです。
同じ旅行者であれば、ついつい気を許してしまうもの。
しかしそのあとに続きます。
「私もあなたの泊まっているゲストハウスに移りたい」
「ホテルに荷物を取りに行きたいから、一緒にトゥクトゥクに乗ろう」
と言ってくるのです。
彼女は背後を指さすと、そこには首尾よく一台のトゥクトゥクが停まっています。
もうお分かりですね。
彼女とこのトゥクトゥクの運ちゃんはグルです。
「一緒にホテルに行こう」などと言われて、ぐらついてはいけません。
そのままついて行ったらアウトです。
人気のないところに連れて行かれて、スジモン風のお兄さんが出てきます。
あとは身ぐるみはがされて「オシマイ」です。
まさに教科書通りの手口でした。
笑ってしまうくらい単純でした。
彼女の背後に停まっているトゥクトゥクを見て、
「オレ、ちょっと時間なくてね。ごめんね。じゃあね!」
と言って、笑いながらその場を後にしました。
彼女は怒っていましたが、しつこくは追いかけてきません。
きっと次のカモを探しに行ったのでしょう。

これまでに犯罪に遭遇することがなかったのは、もちろん運の良さに恵まれたこともあります。
しかし、自分なりにリスクを避ける行動をとっていたのも事実です。
痛い目に遭いたくなければ、「危ない橋を渡らない」こと。
これにつきます。
パターン化された手口は、いまはネット上でいくらでも「予習」することができます。
こうした「予習」をしながら、リスクを避ける行動に徹しておけば、犯罪に遭遇する可能性は大きく下がります。
楽しい海外旅行…
みなさんも十分にご用心を。

 


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タイ産のキャットフードが多いわけ

家族が増えることになりました。
それは突然のことでした。
ペットです。
2か月ほど前に、縁があって、子猫を引き取って、我が家で飼うことになったのでした。
餌やりや飲み水の交換、トイレや寝床の掃除など、連日慣れない作業に追われるようになりました。

餌には特に気を使います。
普段は、ロイヤルカナンというメーカーの総合栄養食をメインに与えているところですが、さすがに毎日そればかりでは飽きが来るでしょう。
猫は美食家で、同じ餌では、飽きてしまうらしいので。
猫が好みそうないろいろな食材を使っては、餌作りにいそしんでいるところです。

我が家の猫は、鶏肉よりも魚のほうが好みのようで、ブリやハマチ、ヒラス(ヒラマサ)などのアラを煮て与えると、とても喜んで食べます。
近所のスーパーで、刺身を作った後に残る、血合いの部分などが、格安で売られているので、これをきまって購入しています。
刺身となると、より見栄えのいい部位が使われるので、赤黒い血合いの部分は、敬遠されるのだと思います。
そのおかげで、我が家の猫の好物は、安く簡単に買うことができているのです。
(僕がいま住んでいる長崎市は鮮魚の安価なところです)

ところが、どの家庭でもそのようにはいかないでしょう。
鮮魚の価格の安くないところに住んでいる人であればなおさらです。
猫を飼育しているたいていの家庭では、缶詰などのウエットタイプの餌を与えていると思います。

それは、手軽で、猫が好んで食べるからにほかなりません。
スーパーやディスカウントストアなどのペット用品コーナーに行けば、たくさんの種類のキャットフードが販売されています。
実際に手に取ってみるとわかるのですが、猫用の缶詰の大半が、「タイ産」の製品なのです。
タイは、世界的にも有名な、ペットフードの輸出大国なのです。

タイは食品加工工業で有名ですが、同時にペットフードの生産も非常に盛んなのです。
2020年のタイの農業省畜産開発局の統計によると、タイのペットフードの輸出額は623億バーツで、これは世界第4位の規模といわれています。
また、その額は今後も増加すると予想されています。https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1280314/202203report.pdf

もともと、豊かな海に恵まれたタイでは、小型マグロなどの魚介類の水揚量が多いという背景がありました。
事実、ツナ缶の製造は古くから行われており、地元のメーカーのみならず、マルハやいなば食品など、日本の水産加工食品メーカー大手は、タイに進出してツナ缶の製造工場を建ててきたのです。
日本の市場に出回っているツナ缶にタイ産が多いのもうなずけるでしょう。

タイでキャットフードの製造が盛んになったのは、こうした土壌がすでに出来上がっていた要因が大きかったのです。
ツナ缶を製造する際に出る、残余の部分、例えば血合いの部分などが、別の製造ラインに送られて、キャットフードに加工されているのです。
これも、日本国内の小売店に行けばわかることですが、国内で販売されているタイ産の猫用の缶詰のほとんどが、マグロやカツオを原料にしています。

下の図は、一般社団法人ペットフード協会が発表した統計ですが、実際のところ、キャットフードの輸入先では、タイが圧倒的に多いことがわかります。(統計は令和2年度)


もともと人間の食用のための缶詰工場で発生した残余の部分をおもな原料にしているため、コスト面では有利です。
また、人間用の食品と同じ工場で製造していることから、鮮度や品質の面でも安心できるのです。


ペットは、大切な家族の一員です。
飼い主であればだれでも、「家族の一員」が健康で長生きしてくれることを願います。
そして、安心で安全なペットフードを探し、与えることでしょう。
タイのメーカーには、今後も、安心で安全なキャットフードを提供していただきたいと切に願うところです。