そば屋のAさんとそば屋のBさん その1

あるところに二人のそば職人AさんとBさんがいました。
このたびかねてからの念願がかなって、二人の職人はそれぞれ自分の店を出すことになりました。
ところがところが…
二人はその後全く違う道を進むことになります。

Aさんは根っからのそば職人でした。
どうしたら最高のそばが打てるのか。
どうしたら本当に美味しい味が出せるのか。
頭のなかにあるのはいつもそば作りのことばかりでした。
やがてAさんは知ることになります。
「美味しいそばを打つのに絶対に欠かすことのできないのはきれいな水だ」
Aさんはきれいで澄んだ水を求めて郊外に出ていきます。
やがてAさんは山奥に移り住み、そこの古民家を改造して、自分のそば屋を開くことになったのです
Aさんの打つそばは絶品でした。
その味は非の打ち所がない最高のものでした。
ところがAさんのそばは手作りだから、たくさんは作れません。
用意できるのは一日にせいぜい20人分ほど。
一日に20食限定です。
週末になると、ウマイとの評判を聞きつけたそば通が、クルマに乗って食べに来ます
といっても完売することはほとんどありません。
週末こそ客が集まりますが、平日に来る人はきわめて少なく、誰も来ない日もあるのです。
そば作りの腕前は一流ですが、そばは思うように売れません。
そば屋の商売としては、まったくの赤字です。
それでも根っからの職人であるAさんは、あきらめません。
いくら貧乏な生活を強いられても、店を続けたいと思っています。
そしてAさんは今日も、美味しいそばを打ち続けます。

そば屋のAさんとそば屋のBさん その2
https://ponce07.com/sobayano-a-san-02/

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