白い道 その11

治療内容の詳細な説明がなされる。
ここまでは日本のやり方と変わらない。
決定的に異なるのは「見積書」がついていること。
治療費の内容と金額が詳細に記されている。
当たり前だが、記載は基本的にタイ語になっている。
突出して高額なのはやはりペースメーカーの機器本体だ。
最新で最もハイクラスのものを使うとのこと。
これが全体費用の半数を超える。
他に高額なのが救急車と専門医の派遣費用だ。
救急車については既に済んでいるが、あれだけの距離を医師や看護師など同乗させて移動するのだから高くなるのも仕方ない。
専門医はバンコクからプーケットに呼び寄せている。
この種の手術の執刀ができる医師は、そう多くはいないのだろう。
それ以外の入院諸経費や投薬などの費用は安価だった。
とは言えこれだけの治療費を前金で負担するのは、誰でもできることではないだろう。
ここは私立病院なのだ。
もし支払いができないというのであれば、それは即ち「お引き取り願います」ということなのだろう。
厳しい現実だが、これが世界の常識なのかもしれない。
「了解であればすぐに署名を」
催促された。
ゆっくりと考えている余裕はない。
バンコクからこちらへ向かっている専門医はもうすぐ到着する。
今晩未明に手術が始まる。

白い道 その12
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