白い道 その3

病院に担ぎ込まれた後は混乱の連続だった。
病院の入口で車椅子を借りて病棟に入る。
すぐさま緊急治療室に運ばれた。

それから事務員が駆けつける。
事情を聴かれたけれど、うまく説明できない。
患者との関係を聞かれて、「自分は息子だ」と繰り返したのは、どうやら理解してもらえた。
それから先の細かい部分はうまく理解できない。
苛立ちが募る。
前金(保証金)を求められるのは、想定の範囲内。
5万バーツだった。
タイ語はまったくの初心者なのに、いきなり本番のステージに引きずり出されたようなものだ。
ただただ混乱した。
整理がつかない状態だった。
とはいえ取り乱した態度は、決してとってはならなかった。
最も混乱し、不安の底に追い込まれているのは、まぎれもなくのおフクロに他ならない。
そのおフクロの前では、うろたえた仕草は見せたくはなかった。

ホテルの部屋は散らかしたまま。
荷物はそのままの状態だった。
一旦ホテルに戻って荷物を片付けて、カバンをここに運びこまないといけなかった。

病院の建物から外に出た。
ひどく眩しかった。
病院の前の道に出る。
舗装された道路ではあったが、強い日差しに照らされているからなのか、輝いて見える。
白い道に見えた。
この道の先にあるのはどこなのだろう。
見ようとしても何も見えない。
底の見えないような深い不安に陥った、

白い道 その4
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