新聞報道によると、政府は来月11日から水際対策を大幅に緩和するとのこと。
外国人の短期滞在ビザの免除を再開するほか、国際線の受け入れも拡大させるということです。
実質的な海外旅行自由化の再開が、現実味を帯びてきたと言えるでしょう。
タイへの渡航再開も、そう遠くない日に実現するかもしれません。
海外に旅行に行くときに、気になることの一つに、現地の治安の良し悪しがあると思います。
国内と違って、海外は怖いというイメージを持っている人は少ないと思います。
僕自身も、学生時代からいままでに、14の国や地域を旅行した経験があります。
よく聞かれるのが、この治安についてです。
「怖い目にあったことない??」
「盗難にあったことは??」
など、しばしば聞かれるところです。
結論から言いますと、そのような盗難被害や恐ろしい目に遭遇したことは、全くありませんでした。
ただ一度、スリの被害に遭いそうになったことがありました。
それは中国のある地方都市での出来事でしたが、バスに乗っているときに出くわしました。
ひどく混んだ車内で、吊革につかまって立っていたのですが、肩にかけていたショルダーバッグに、「手」が伸びてきたのでした。
一瞬のことでしたが、腰のあたりに違和感を感じて、素早く体を回転させて、その「手」を捕まえました。
「手」は混みあった車内に立つ乗客の間を、逃げていこうとしましたが、こちらは握っていた拳を緩めることはありません。
むしろ、握っている拳により一層力を込めて、渾身の力でその「手」を引き寄せました。
その「手」は、老婆の手でした。
怒りがこみあげてきて、日本語で怒鳴り散らしたのを覚えています。
しかし、相手が相手だし、こちらの表情がよほど怖かったのか、小刻みに震えているのが見えました。
それ以上責めても仕方ありませんので、「釈放」したのです。
その一件は、特段の実害もなく終わったのですが、こんなことに遭ってしまうと、その街の印象自体が悪くなってしまいます。
とても残念なことです。
しかし、こちらに甘さがあったのも事実です。
スリに目をつけられてしまう行動だったのでしょう。
それからは、街歩きのときに使うショルダーバッグは、たすき掛けの要領で、斜めに掛けるようにしています。
こうした犯罪が多発するところ、しないところの差はどこにあるのか。
その後の旅先でも、そのことを考えるようになりました。
しばしば「民度が低い」というような言い方もされますが、小さい犯罪が多発する地域は、おしなべて住民の質が悪い地域です。
通りを歩いていても、ゴミの投げ捨てなどが目立ちます。
公共の交通機関を利用しても、目につくのは行儀がよろしくない乗客ばかりです。
タイの場合はどうでしょうか。
僕は、タイではそのような不快な思いをしたことは、ほとんどありません。
宗教観の違いなのか、タイ人の多くは、他人の迷惑になる行為は、「恥ずべきこと」という認識を持っているようです。
もちろんすべての人がキチンとしているわけではないのでしょう。
しかし、「恥の文化」ともいえる、そういった考え方は、多くの日本人と似通っていて、タイへ旅行に来ても、ストレスに感じることが少ないのです。
写真は、サムイ島にあるショッピングモールの中にある大手のスーパーです。

セルフレジがあるのがわかります。
万引きの多い、治安の悪い地域であれば、セルフレジのようなシステムは成立しないことでしょう。
そんなタイでも、痛い目にあった旅行者もいないわけではありません。
僕が学生時代に初めてタイに来た時ことです。
もうかれこれ30年前のことになります。
そのとき、旅行者の多く集まる「カオサンロード」に泊まっていました。
当時広く読まれていたガイドブックである「地球の歩き方」に掲載されていた、犯罪の手口と全く同じようなことが目の前で起こりました。
その手口とは…
旅先で話しかけてくるのは、若い女性。
カタコトの英語で話しかけてきます。
なぜかきまって「シンガポールから来た」と言います。
学生の旅行者を捕まえては、話しかけてくるのです。
「どこに泊まっているの?」
「そこは1泊いくらなの?」
いかにも、自分も旅行者の一人のような雰囲気で話しかけてくるのです。
同じ旅行者であれば、ついつい気を許してしまうもの。
しかしそのあとに続きます。
「私もあなたの泊まっているゲストハウスに移りたい」
「ホテルに荷物を取りに行きたいから、一緒にトゥクトゥクに乗ろう」
と言ってくるのです。
彼女は背後を指さすと、そこには首尾よく一台のトゥクトゥクが停まっています。
もうお分かりですね。
彼女とこのトゥクトゥクの運ちゃんはグルです。
「一緒にホテルに行こう」などと言われて、ぐらついてはいけません。
そのままついて行ったらアウトです。
人気のないところに連れて行かれて、スジモン風のお兄さんが出てきます。
あとは身ぐるみはがされて「オシマイ」です。
まさに教科書通りの手口でした。
笑ってしまうくらい単純でした。
彼女の背後に停まっているトゥクトゥクを見て、
「オレ、ちょっと時間なくてね。ごめんね。じゃあね!」
と言って、笑いながらその場を後にしました。
彼女は怒っていましたが、しつこくは追いかけてきません。
きっと次のカモを探しに行ったのでしょう。
これまでに犯罪に遭遇することがなかったのは、もちろん運の良さに恵まれたこともあります。
しかし、自分なりにリスクを避ける行動をとっていたのも事実です。
痛い目に遭いたくなければ、「危ない橋を渡らない」こと。
これにつきます。
パターン化された手口は、いまはネット上でいくらでも「予習」することができます。
こうした「予習」をしながら、リスクを避ける行動に徹しておけば、犯罪に遭遇する可能性は大きく下がります。
楽しい海外旅行…
みなさんも十分にご用心を。