タイ産のキャットフードが多いわけ

家族が増えることになりました。
それは突然のことでした。
ペットです。
2か月ほど前に、縁があって、子猫を引き取って、我が家で飼うことになったのでした。
餌やりや飲み水の交換、トイレや寝床の掃除など、連日慣れない作業に追われるようになりました。

餌には特に気を使います。
普段は、ロイヤルカナンというメーカーの総合栄養食をメインに与えているところですが、さすがに毎日そればかりでは飽きが来るでしょう。
猫は美食家で、同じ餌では、飽きてしまうらしいので。
猫が好みそうないろいろな食材を使っては、餌作りにいそしんでいるところです。

我が家の猫は、鶏肉よりも魚のほうが好みのようで、ブリやハマチ、ヒラス(ヒラマサ)などのアラを煮て与えると、とても喜んで食べます。
近所のスーパーで、刺身を作った後に残る、血合いの部分などが、格安で売られているので、これをきまって購入しています。
刺身となると、より見栄えのいい部位が使われるので、赤黒い血合いの部分は、敬遠されるのだと思います。
そのおかげで、我が家の猫の好物は、安く簡単に買うことができているのです。
(僕がいま住んでいる長崎市は鮮魚の安価なところです)

ところが、どの家庭でもそのようにはいかないでしょう。
鮮魚の価格の安くないところに住んでいる人であればなおさらです。
猫を飼育しているたいていの家庭では、缶詰などのウエットタイプの餌を与えていると思います。

それは、手軽で、猫が好んで食べるからにほかなりません。
スーパーやディスカウントストアなどのペット用品コーナーに行けば、たくさんの種類のキャットフードが販売されています。
実際に手に取ってみるとわかるのですが、猫用の缶詰の大半が、「タイ産」の製品なのです。
タイは、世界的にも有名な、ペットフードの輸出大国なのです。

タイは食品加工工業で有名ですが、同時にペットフードの生産も非常に盛んなのです。
2020年のタイの農業省畜産開発局の統計によると、タイのペットフードの輸出額は623億バーツで、これは世界第4位の規模といわれています。
また、その額は今後も増加すると予想されています。https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1280314/202203report.pdf

もともと、豊かな海に恵まれたタイでは、小型マグロなどの魚介類の水揚量が多いという背景がありました。
事実、ツナ缶の製造は古くから行われており、地元のメーカーのみならず、マルハやいなば食品など、日本の水産加工食品メーカー大手は、タイに進出してツナ缶の製造工場を建ててきたのです。
日本の市場に出回っているツナ缶にタイ産が多いのもうなずけるでしょう。

タイでキャットフードの製造が盛んになったのは、こうした土壌がすでに出来上がっていた要因が大きかったのです。
ツナ缶を製造する際に出る、残余の部分、例えば血合いの部分などが、別の製造ラインに送られて、キャットフードに加工されているのです。
これも、日本国内の小売店に行けばわかることですが、国内で販売されているタイ産の猫用の缶詰のほとんどが、マグロやカツオを原料にしています。

下の図は、一般社団法人ペットフード協会が発表した統計ですが、実際のところ、キャットフードの輸入先では、タイが圧倒的に多いことがわかります。(統計は令和2年度)


もともと人間の食用のための缶詰工場で発生した残余の部分をおもな原料にしているため、コスト面では有利です。
また、人間用の食品と同じ工場で製造していることから、鮮度や品質の面でも安心できるのです。


ペットは、大切な家族の一員です。
飼い主であればだれでも、「家族の一員」が健康で長生きしてくれることを願います。
そして、安心で安全なペットフードを探し、与えることでしょう。
タイのメーカーには、今後も、安心で安全なキャットフードを提供していただきたいと切に願うところです。

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