これからの暑い季節には、辛い料理が無性に食べたくなるものです。
食べた直後は、熱い感覚が口の中に広がりますが、やや遅れて汗が流れます。
この感覚が実に心地良いのです。
発汗は体温を下げる働きがありますので、蒸し暑い東南アジアでは辛い料理、とりわけ唐辛子を多用した料理が好まれているのです。
唐辛子の原産地は中南米と言われています。
メキシコでの歴史は大変古く、紀元前6000年に遡るとも言われています。
この唐辛子が世界各地に広がるのは15世紀以降のことなのです。
それが世界に広まるきっかけとなったのがコロンブスによるアメリカ大陸の到達です。
コロンブスはインドのコショウを求めて大西洋を越え、さらに太平洋も越えてアジアを目指しましたが、その途中アメリカ大陸に到達します。
しかしコロンブスはそこがアメリカ大陸とは知らず「ついに我々はインドにたどり着いた」と思い込んでしまうのです。
アメリカ大陸の先住民族がインディアンと呼ばれたり、カリブ海の島々が西インド諸島と呼ばれたりするようになったのは、こうした理由があったからに他ならないのです。
そしてコロンブスはそこで見かけた赤くて辛い香辛料も「きっとコショウの一種に違いない」と思い込み、ヨーロッパに持ち帰って「Red Pepper(赤いコショウ)」と紹介したのです。
胡椒とは関係が無いにも関わらず「Pepperペッパー」と呼ばれている理由は、こうした背景があったからなのです。
その後、唐辛子は大航海時代の波に乗って瞬く間に世界へと広まっていきます。
唐辛子は、漢字の意味としては、「唐から伝わった辛子」となります。
この「唐」はというその漢字が意味するとおり、南蛮渡来の物ということになります。
記録によりますと日本への初めての伝来は1542年ということになっています。
ポルトガル人の宣教師が、豊後国の大友宗麟に唐辛子の種を献上したのです。
しかし、この唐辛子の味は、当時の日本人の味覚には合わなかったようで、食用としては使われることはありませんでした。
唐辛子は観賞用や足袋の先端に入れるしもやけ止めなどとして使われるに過ぎなかったと言われています。
その後江戸時代になり、寛永期に江戸で漢方薬の研究をしていた中島徳右衛門という人物が、唐辛子に種々の香辛料を配合した「七味唐辛子」を開発します。
これが江戸の町でヒットすることになり、唐辛子は日本で香辛料としての地位を確立することになります。
しかし、日本での唐辛子の位置づけは、それほど大きくはなかったと思われます。
1980年代以降、エスニック料理が浸透し、「激辛ブーム」が起こってからは、料理に唐辛子が多く使われるようになりましたが、それは比較的最近のこととも言えます。
以前は、薬味や香り付けに一味唐辛子や日本特有の七味唐辛子が少量使われる程度であり、辛口の商品に関しても多くのレパートリーが用意されていたわけではなかったのです。
しかしアジアにはインドやタイ、韓国など唐辛子が日常的に使われる国もあります。
小さい子供もこんな辛い物を食べるのか疑問に思う人も多いのですが、こうした国々の子供も最初から辛い物が食べられるわけではありません。
小さい子供の頃から少しずつ唐辛子を食して、徐々に辛い味に慣らしてき、舌や胃腸を刺激に対して強くしているようです。
唐辛子 พริก その2 https://ponce07.com/pepper-2/