出生 เกิด

前回は、日本語にある独特な表現として、日本人の言霊(ことだま)信仰について書きました。
しかし、このような表現方法、つまり縁起の良くないことを直接的に表現するのを避ける言い方は、他の国でもしばしば見受けられます。
タイ語にも、これによく似た興味深い表現があります。
子の出生に関する表現です。
まずは、以下の2人の女性のダイアログをご一読願います。

A:เพื่อนดิฉันคลอดลูกผู้ชายเมื่อวานนี้ค่ะ
B:จะไปเยี่ยมเพื่อนที่โรงพยาบาลหรือคะ
A:ค่ะ คิดว่าลูกเขาคงจะน่ารักมาก
B:สมัยก่อน คนไทยไม่ชมเด็กว่าน่ารักนะคะ
A:เพราะอะไรคะ
B:เพราะกลัวว่าผีจะเห็นด้วย แล้วจะเอาเด็กไป
A:มิน่าล่ะ เด็กน่ารัก แต่คนไทยบางคนพูดว่าน่าเกลียดน่าชัง ไม่พูดตรงๆว่าเด็กน่ารัก
B:ค่ะ คนสมัยก่อนเรียกชื่อเด็กว่าหมู ว่าแมว เพราะจะหลอกผีว่านี่ไม่ใช่ลูกคนนะ อย่าเอาไปนะ
A:มิน่าล่ะ คนไทยก็เลยมีชื่อเล่นเป็นชื่อสัตว์กันเยอะ
B:แต่สมัยนี้คนไทยไม่เชื่อเรื่องนี้แล้วค่ะ

A:私の友達が昨日男の子を出産しました。
B:病院にお見舞いに行くんですか。
A:ええ。彼女の子はきっととても可愛いと思います。
B:昔は、タイ人は子供のことを可愛いとはほめませんでした。
A:どうしてですか。
B:ピー(精霊、幽霊)がそう思って、連れ去るのを恐れたからです。
A:道理で。可愛いくても、醜くて憎たらしいと言って、素直に可愛いと言わないタイ人もいます。
B:ええ。昔の人は子供の名前を豚とか猫とか呼びました。なぜなら「これは人間の子ではありませんよ。連れて行かないでね」とピーを欺こうとしたからです。
A:道理で。だからタイ人は動物の名前をニックネームにしている人が多いんですね。
B:でも今はタイ人はもうそれは信じていません。

出典:中級タイ語総合読本 タイの社会と文化を読む
著者:斉藤スワニー 三上直光
出版:白水社

ピー(精霊、幽霊)が子供を連れ去るということは、あの世に連れていかれること、つまりは子供が死亡することを意味しています。
この発想は、古代の社会のように、乳幼児の死亡率が高かった頃の名残が色濃く残っているということができます。
現在はタイでも医療水準は相当に高く、死亡率は低くなっていますが、それでもこのような表現が残っているのです。
日本でも古代の社会では、幼少の頃の名前は、悪いイメージを連想させるものがよく使われていたと言います。
あの豊臣秀吉の幼少時の名は「棄丸(すてまる)」であったことは有名な話です。
子供が成長した後になって、正式な名前に改名していたのです。
現代のタイでは、行われることが少なくなったと言いますが、産毛の一部を残して、髷を作り、子供が成長してから(概ね11歳から12歳ころ)これを切り落とす、まげ落としの儀式があります。
髷は魂が宿るところであり、その魂が出ていくと疫病にかかってしまうと考えたので、幼少時には髷を残しておくというわけです。
いずれにしても、こうした伝統文化は、子の健やかな成長を願う両親や親族等の祈りが込められた大切なしきたりだったに違いありません。
我が子の成長を喜ばない親はいません。
このことは、古今東西変わることはないのです。

★今回参照させていただきました「中級タイ語総合読本」は、タイの文化について、平易なタイ文字で書かれている良書で、かつ解説も充実しており、タイ語の勉強に大変参考にさせていただいております。タイ語学習者で、初心者レベルを一定通過したかたは、ぜひお使いになっていただきたい一冊です。


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