タイ語の月の名称は、12種類それぞれに固有の名称がついています。
現在の日本語のように「数字+月」では、表現しません。
日本語でもかつては、睦月(むつき)、如月(きさらぎ)、弥生(やよい)、卯月(うづき)…といったように、固有の名称があったのは確かですが、それは現代の日本語では消滅しています。
初めてこの12種類の月の名称を見たとき、これを全部タイ文字で覚えていくのは大変だ…とげんなりとした気分になったものです。
でもその固有の名称のもとになっているのは、黄道十二星座と呼ばれる、いわゆる「占いの星座」だったということがわかりました。
これはなかなかオシャレですね。
当然ですが、月の名称と占いの星座を並行して覚えていけば、より効率的なのです。
たとえば、僕は五月生まれなので、五月を例にすると、五月の星座といえば牡牛座です。
牡牛座を意味する「ราศีพฤษภ」の「พฤษภ」は「牡牛」の意味です。
これに由来して、五月は「เดือนพฤษภาคม」になります。
「เดือน」は〇月の月の意味で、「คม」は大の月の語尾につきます。
現在のタイ語の月の名称は以下のとおりです。
一月 เดือนมกราคม
二月 เดือนกุมภาพันธ์
三月 เดือนมีนาคม
四月 เดือนเมษายน
五月 เดือนพฤษภาคม
六月 เดือนมิถุนายน
七月 เดือนกรกฏาคม
八月 เดือนสิงหาคม
九月 เดือนกันยายน
十月 เดือนตุลาคม
十一月 เดือนพฤศจิกายน
十二月 เดือนธันวาคม
「เดือน」は〇月の「月」の部分を表します。
ちなみに、「先月」は、「この前の~」を意味する「ที่แล้ว」がついて「เดือนที่แล้ว」
「来月」は「次の~」を意味する「หน้า」がついて「เดือนหน้า」になります。
また、語の末尾に付いている「คม」は大の月を表していて、「ยน」は小の月を表しています。
「พันธ์」は二月のみ使われます。
また黄道十二星座(占いの星座)は以下のとおりです。
牡羊座(おひつじざ)ราศีเมษ
牡牛座(おうしざ)ราศีพฤษภ
双子座(ふたござ)ราศีเมถุน
蟹座(かにざ)ราศีกรกฎ
獅子座(ししざ)ราศีสิงห์
乙女座(おとめざ)ราศีกันย์
天秤座(てんびんざ)ราศีตุล
蠍座(さそりざ)ราศีพิจิก
射手座(いてざ)ราศีธนู
山羊座(やぎざ)ราศีมังกร
水瓶座(みずがめざ)ราศีกุมภ์
魚座(うおざ)ราศีมีน
語の先頭についている「ราศี」は、星座(〇〇座)を表す言葉です。
注目したのは10月です。
10月「ตุลาคม」は、すでに書きましたが、「天秤座ราศีตุล」に由来します。
この「ราศีตุล」の「ตุล」は「ตุลา」とも表記しますが、もともとの意味が「はかり(秤)」の意味です。
「はかり(秤)」の形からイメージできるのは、「公平性」です。
弁護士のバッジには、天秤ばかりが描かれていて、それが「公平と平等」の意味していることは有名な話です。
とすれば、公平性はイメージしやすいものと思います。
これに行為を意味する「การ」がつけば、「裁判官ตุลาการ」という意味になります。
またさらにこれに権力や権限を意味する「อำนาจ」がつながれば、「司法権อำนาจตุลาการ」
という意味なります。
10月… 天秤座…
裁判官… 司法権…
一見するとつながりのない言葉のようにも思えますが、タイ語の世界ではルーツを同じくする系統の言葉になるのです。
このようにして語源をたどって見れば、興味がわくことと思います。
そして、語の一つ一つが足し算のようにつながって新たな意味を持つことがわかれば、さらに興味深く感じることができると思います。