昨年(平成30年・2018年)に、長崎県と熊本県にまたがる「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。
これで日本の世界遺産は22件になったとのことです。
長崎におけるカトリック教会の伝来と繁栄、その後の禁教令の下での潜伏信仰、そして奇跡のキリシタン復活という歴史は、世界に類を見ないほどの貴重なものと言えます。
潜伏していた信者が発見された驚きの様子は、遠藤周作氏の有名な小説「女の一生」にも描かれています。
世界遺産に登録されたことで、多くの人々が隠れキリシタンの歴史を知ることとなり、これは素晴らしいことだと思います。
また、世界遺産として登録されると、その集客力は相当に大きくなります。
以前、島根県の石見銀山遺跡に旅行した時に、地元のタクシードライバーが、世界遺産に登録されて以後観光客が激増した様子を語っていたのを思い出します。
むかしから旅が好きで、アジアの各地を回ることが多かったのですが、いま思い出すと、著名な観光地には、あまり行っていません。
そもそも教養が乏しいせいなのか、そういった有名な歴史的建造物にあまり興味が湧かないのかもしれません。
それに加えて、多くの人がする行動に合わせるのは嫌いという天邪鬼な性格から、メジャーな観光地には、あえて足を向けなかったのかもしれません。
長く記憶に残っているのは、有名な観光地ではありません。
むしろ地元の庶民が集まる市場などの雑踏、そんな下町の木賃宿や安食堂、苦労して買った切符でのバスや鉄道の風景などがいまも思い出されるのです。
いずれも、苦労や驚きの連続だったのでしょう。
深く記憶に焼き付いているのです。
再び見てみたいと思うのは、庶民の生活ぶりという「人間」の部分であって、建造物という「モノ」ではないのではと考えるのです。
タイにもユネスコに登録された5か所の世界遺産があります。
スコータイや古都アユタヤなど、タイの歴史を知るうえでたいへん興味があり、いつかは行ってみたいと思います。
しかしその一方で、ガイドブックには出ていないような、地方の小さな町にも足を運んでみたいと思うのです。
小さな発見でもかまいません。
庶民の暮らしぶりを垣間見るだけでもかまいません。
自分だけのオリジナルな発見を求めていきたいと思うのです。

上の写真はバンコクのBTSの車内で撮影したものです。
ドア部分のステッカー広告には、「世界文化遺産の地 姫路城」と書かれています。