ไม่เป็นไร マイペンライという言葉があります。
「大丈夫」とか「(お詫びに対して)どういたしまして」といった訳語になるのですが、「気にしない」「問題ない」という意味合いも含む幅広い意味を持つ言葉なのです。
その奥の深さを実感した一件がありました。
北部のメーホンソーン県(จังหวัดแม่ฮ่องสอน)に行ったときの失敗談です。
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メーホンソーン県のパーイ郡(อำเภอปาย)。
ここは北タイの田舎街だった。
その小さな街を有名にしたのは、ある恋愛物の映画だという。
小さな静かな街が、映画のロケ地になったのをきっかけに、多くの観光客が訪れるようになったという。
バンコクのような大都会から来れば、そこはいかにも小さな集落に見えるだろう。
しかしそこには、どこか素朴な感がある。
ノスタルジックな感覚というか、過ぎ去ったかつての思い出のような感覚というか…
祭りの日なのか、夜市には人々が溢れていた。
昭和の頃の日本を彷彿とさせる雰囲気だった。
夜市を見て回った後に、安い食堂に入った。
宿に戻ってもすぐに部屋に入らず、外に置いてあるイスに腰掛けて、家族と雑談に興じていた。
部屋に戻ろうとしたときに気がついた。
部屋のキーがなかった。
こんな田舎街の小さなペンションでも、ドアはオートロックになっていた。
キーを持たずに外に出ると、途端に閉め出しを食らう。
今回の件も慌てて出かけて、キーを部屋に置き忘れたのだろう。
そう思い込んでいた。
遅くなって申し訳なかったが仕方ない。
従業員に開けてもらうしかない。
宿の従業員にドアの鍵を開けてもらった。
夜も遅くなった時間だったので、フロント係の女性は、既にホテルから出て、隣の建物にいた。
家族経営のペンションのようなもので、隣の建物にある自室に戻ったということなのだろう。
部屋に入ることはできたのだが、部屋の中にキーは残されていなかった。
鏡台やサイドテーブル、ベッドの下など、思いつく限り探し回ったが、見つけ出すことができなかった。
出かけたときにキーを外に落としてきたのだろうか。
次第に不安になってきた。
よく寝つけないまま朝を迎えた。
「ไม่เป็นไร’(気にしない)」の文化について その2
https://ponce07.com/mai-pen-rai-02/