バンコクで宿をとるときは、ラーチャテーウィー駅(สถานีราชเทวี)近くの宿を選ぶことがよくありました。
この地区を選ぶメリットはもちろん交通の利便性の良さにあります。
スワンナプーム空港利用の場合は、隣のパヤータイ駅(สถานีพญาไท)からエアポートレールリンクに乗れば30分ほどで空港に着きます。
ドンムアン空港利用の場合でも、BTS(高架鉄道)のスクンビット線で北方向に少し行けば、モーチット駅(สถานีหมอชิต)になり、そこからドンムアン空港までは、バスですぐ行けます。
ラーチャテーウィー駅近くのペッチャブリー通り(ถนนเพชรบุรี)を東方向に少し歩けば、パンティップ・プラザ プラトゥナーム(ศูนย์การค้าพันธุ์ทิพย์ ประตูน้ำ)、セントラルワールド(เซ็นทรัลเวิลด์)、スーパーのBig C (บิ๊กซี ซูเปอร์เซ็นเตอร์ ราชดำริ)などの商業施設が集中していて、そのいずれもが徒歩圏内です。
買い物重視派の旅行者にとっては、大きなメリットがあると思います。
しかし、当たり前に旅行をするのが面白くない天邪鬼的な性格な僕なので、今回は少し別のエリアに投宿することにしました。
そこで選んだのが、このイサラパープ地区でした。
王宮からチャオプラヤ川を渡って、ワット・アルン(暁の寺วัดอรุณราชวรารามราชวรมหาวิหาร)のある辺りと言えばイメージしやすいと思います。
通りの名前は「タノン・イサラパープ(ถนนอิสรภาพ)」で、MRT(地下鉄)の駅もあり、駅の名前は「イサラパープ駅(สถานีอิสรภาพ)」です。
イサラパープ(อิสรภาพ)の意味は、「自由(freedom)」です。
なかなかカッコイイ名前です。
昨年(2019年)にフワランポーン駅から、MRTが西側に延伸され、設置された駅のひとつで、ワット・ポーや王宮の最寄り駅である「サナームチャイ駅(สถานีสนามไชย)」の次の駅が、このイサラパープ駅になります。
ワット・ポー側からワット・アルン側には、渡し船で行くこともできますが、MRTが開通して以来、この地区により手軽に行けるようになったと思います。
ワット・ポー側と違ってどちらかと言えば落ち着いた雰囲気があり、観光客ズレした印象はほとんどありません。
バイクとクルマの騒音が激しいペッチャブリー通りと違って、静かな雰囲気が心地良く感じます。
飲食店に入っても、英語表記のメニューは少なく、庶民的な雰囲気が感じられます。
派手な商業施設はなく、地元民が日常立ち寄るような零細の商店が目立ちます。
バンコク市内で、静かで落ち着いた感じの下町に出会った感じです。

「対岸」という言い方があります。
「川の向こう側」。要するに、話し手からみた「あちら側」という、やや距離感を置いた表現です。
こちらがメジャーで、あちら側はマイナーというある種の意識を感じます。
ここイサラパープ地区は、バンコクでは「対岸」地区になるわけです。
ワット・ポーや王宮にあるような華やかさには欠けるかもしれません。
この地区を訪れる旅行者もまだ限られているのかもしれません。
しかしそれが、かえって自分の感性に合っているようです。
ガイドブックには出ていないような地区にも、足を運んでみたいと思います。
庶民の暮らしぶりを垣間見ることができれば、それが新たな発見になるかもしれません。
自分だけのオリジナルな発見を求めていきたいと思うのです。

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