新型コロナウイルスの勢いは未だ収まる気配はなく、海外渡航は事実上不可能な状態が続いています。
僕が大学生の頃は、バックパッカーとしてアジアのいたるところに一人で気ままな旅をしていました。
そしてその時の数多くの経験が、現在の自分を形成していると思っています。
それを考えるといまの大学生は、そのような「冒険」をする機会を奪われ、残念でなりません
このコロナ禍が過ぎて、自由な海外旅行が再開されたら、若い世代のかたには是非とも旅という名の「冒険」に挑戦していただきたいと思います。
さて、ここで旅をするうえで、考慮していただきたい要件について4点ほどお伝えしたいと思います。
目次 Contents
1 できれば一人で行く
海外での旅となれば、危険はいつもついて回ります。
日本と比較すると治安の良いとは言えない国や地域が圧倒的に多いのです。
一人旅など危険極まりないと考える方も多くいらっしゃるかと思います。
それでも、僕は一人旅という「冒険」をおススメします。
いざ旅に出れば、泊る宿屋や食事をする飯屋を探すのも、移動するための交通機関の手配なども、すべては自分自身でこなしていかなければなりません。
これが、自分の行動力を鍛えるいいチャンスなのです。
と同時にこうした行動を重ねることで、失敗しない方法やリスクを避ける技術が身に付くのです。
例えば、仲の良いA君とB君の二人組で旅に出たとします。
もしA君が語学力に優れていれば、交渉事の担当はすべてA君に任せられてしまいます。
これではB君はA君に頼るばかりで行動力を鍛えることはできません。
語学力ばかりではありません。
仲の良いCさんとDさんの二人組がいます。
積極的で行動的なCさんと控えめで交渉事を苦手とするDさん。
このようなケースでは交渉事の担当はCさんに偏ってしまいます。
どちらかが、積極的で行動的な性格であれば、交渉事の担当は一方偏ってしまい、他方は何もしないまま終わってしまいます。
これでは、お互い不平不満が出て、長い旅の継続は難しくなってしまいます。
価値観の異なる者同士が長期間一緒に旅を続けるのは、時として苦痛なときもあります。
行きたいところの好みや食事の好みなど、意見が分かれるのが常なのです。
その点、一人旅であれば、誰に気を使うことなく気ままに自由に行動できるのです。
なお、ホテルなどに宿泊するときに、一人よりも二人でシェアしたほうが安上がりになるという意見もあります。
経済的な側面を考えれば、確かにそれは一理あります。
でも、あまり心配には及びません。
これは実際に旅に出てみればわかることですが、バックパッカーの集まるようなところには、同じように一人旅をしている人が何人かいるものです。
日本語の分かる者同士であれば、気楽に情報交換もできます。
その中で気の合った者がいれば、相部屋を提案して、宿代を割り勘にすればいいのです。
2 できれば発展途上国へ
渡航先として先進国を選ぶこと自体は、決して反対するわけではありません。
しかし、先進国であれば、何もかもが便利過ぎることも多く、「冒険」としての要素が低くなってしまいます。
その点発展途上国となれば、移動や宿泊などの設備が必ずしも快適であるとは限りません。
時には空調設備のない列車や木賃宿を利用しなければならないこともあります。
時には清潔感に難のある交通機関や宿泊先に遭遇することもあります。
英語も通じないような地方都市もあります。
不便と言えば不便ですが、こういう所こそ、行動力が鍛えられるので、かえって旅のし甲斐があるとも言えるのです。
言葉もわからない中で、戸惑いながらもフワランポーン駅でバンコクからチェンマイまでの切符を買ったこと。
その夜行列車の中の風景は今でも深く記憶に残っています。
ネパールのポカラからインドのヴァーラーナシーまでの1泊2日のバスの旅は、かなり強烈でした。
車内はひどく混雑しているうえに道は悪路で揺れは酷く、途中の飯屋では粗末な食事にありつくのがやっとでした。
途中の木賃宿で蚊の羽音に悩まされながら一晩を過ごしたことなども記憶に残っているのです。
こうした苦労話もいまとなっては笑い話のネタになっています。
先進国の一流ホテルに泊まって、一流のレストランで極上のディナーを楽しむのもいいでしょう。
しかしそれは日本にいるときと、大した違いのない経験になってしまいます。
だとしたら、その旅行の思い出は後々までに永く記憶に残るのかどうか…
せっかくの旅なのです。
後々まで、深く記憶に残るような貴重な体験をしていただきたいと思います。
3 予約は不要
パッケージツアーという旅行商品があります。
宿泊先から、観光名所や食事処、土産物屋まで行き先のスケジュールが細かく決められて、旅行者はコンダクターに従って行動すればいいようなものです。
僕はこのようなパッケージツアーを利用したことはありません。
というより利用したいとも思いません。
旅の醍醐味は「冒険」を感じることです。
先ほども書きましたが、旅先では泊る宿屋や食事をする飯屋を探すのも、移動するための交通機関の手配なども、すべては自分自身でこなしていくものなのです。
こうした経験が、自分の行動力を鍛えていくものなのです。
他人の指示通りの旅行などは、本当の意味での旅とは言えません。
僕が初めてタイを訪れたときは、事前に渡航先での交通機関の手配やホテルの予約などはしていませんでした。
持って行ったのは2月20日に出国し、3月30日に帰国するバンコク行きの往復航空券、それといくらかの旅行用小切手と現金のみでした。
泊り先などは、その場で空いたゲストハウスを探しては、その場で決めるとういう行き当たりばったりのパターンでした。
今でこそAgodaやTrip.comなどの予約サイトがありますが、ゲストハウスのような安宿では、そもそも予約という概念に乏しく、当日部屋が空いていれば泊れるというおおらかなやりかただったのです。
一人であれば何とかなります。
仮にそのゲストハウスが満室であっても、たいていは近隣に同じようなクラスの安宿があるので、心配ありません。
これまで宿泊先がなくて困ったということはありませんでした。
何かのイベントの開催時期だとかピークシーズンでもない限り、事前に宿泊先を予約しておく必要はありません。
4 現地の食文化に親しもう
僕が海外に旅行するときは、日本料理屋に行くことはありません。
地元の食文化に親しみたいので、食事はもっぱらローカルフード(現地食)です。
確かに、ローカルフードとなれば、どんな材料が使われているのか、どんな味付けなのか見当もつかないことが多々あります。
注文の仕方がわからないことも多いです。
アジアの安食堂の店先で得体のしれないおかずを指さして、「試してみる」こともよくあります。
強烈に辛かったり、油っこかったり、塩辛かったり….
しかし僕はあえてローカルフードを選び、またそれを楽しんでいます。
食はその地域の文化を最も反映したものだと言われています。
食材や香辛料などの使われ方には、その土地の文化が色濃く表れているのです。
例えばタイは世界でも有数な米どころです。
一か所の水田で年に2回の米の収穫が可能で、所によっては3回も可能です。
しかしその米もただ炊いて食べるだけでは、さすがに飽きがきます。
そこで、炊いた米を炒めたり、煮たりするなど調理方法に様々な工夫がなされます。
また、米を粉にして麺(いわゆるビーフン)にする方法も生まれています。
その麺も日本のそうめんのような極細麺から、幅がきしめんの2倍はありそうな極太麺まで様々な太さがあります。
麺の食べ方も、スープの有無あるいはスープの種類、具材や味付けの違いなど実に様々バリエーションがあります。
その世界はかなり奥が深く、たいへん興味をそそります。
ところが旅行者の中には、タイの料理はすべてが激辛なのだろうという先入観にとらわれて、ローカルフードにまったく箸を出そうとしない者もいます。
そして彼らは、日本料理屋やファストフード店に走ることになります。
実にもったいないと思います。
ここはひとつ「冒険」して、その土地の文化を舌で感じてほしいものです。
いかがでしょうか。
これらは僕のバックパッカーの経験としての推奨事項です。
これがいいのか、そうでないのかの判断は各々に委ねます。
その点を熟考のうえ、参考にしていただければと思います。
それでは…よき旅を!