軌間 その3 相互直通運転

相互直通運転の一例をあげると東京メトロ副都心線の例がある。
東京メトロ副都心は、埼玉県和光市の和光市駅から東京都渋谷区の渋谷駅を結ぶ東京地下鉄(東京メトロ)の鉄道路線である。
東京メトロ副都心線は、東京地下鉄(東京メトロ)を含めた鉄道5事業者(東武・西武・東京地下鉄・東急・横浜高速鉄道)による相互直通運転が行われており、埼玉県西部の滑川町・川越市・飯能市・所沢市の各方面から神奈川県横浜市までの広域な鉄道網が形成されている。
和光市駅を介して東武東上線への直通運転を行っている。
また、小竹向原駅から西武有楽町線を経由して西武池袋線飯能駅までの直通運転を行っている。
一方、渋谷駅で東急東横線と、さらに東横線の終点である横浜駅から横浜高速鉄道みなとみらい線に乗り入れ、元町・中華街駅まで直通運転を行っている。
このような直通運転は、日本では大都市の地下鉄が郊外への私鉄路線と直通運転するものが代表的であるが、本格的に異事業者間で直通運転が始まったのは1960年代に入ってからである。
昭和35年(1960年)12月に都営地下鉄浅草線の押上 – 浅草橋間が開業した。
同時に押上駅を介して京成押上線・京成本線と直通運転を開始した。
これは地下鉄と郊外の民間鉄道事業者による初の直通運転となった。
その後都営地下鉄浅草線は、昭和43年(1968年)6月に大門 – 泉岳寺間を開業させる。
同時に泉岳寺駅を介して京浜急行電鉄と直通運転を開始した。

相互直通運転のメリットは、異なる路線へ乗り換えなしで往来を可能にさせたことや乗り換えによる所要時間の減少させたこと、また乗換駅の混雑緩和させたことなどが挙げられる。
鉄道網の利便性が向上されたことによって、郊外の発展にも寄与したことも、相互直通運転がもたらした大きな利点であった。
ちなみに、現在の都営地下鉄浅草線は、従来の京成電鉄及び京浜急行電鉄に加え、北総開発鉄道(現・北総鉄道)、芝山鉄道との直通運転を行っており、千葉県の白井市・印西市・船橋市・成田市・芝山町から都心を経由して、神奈川県逗子市・横須賀市・三浦市にわたる広域の鉄道網が形成されることとなった。
また、東京の空の玄関である羽田空港(京浜急行電鉄)と成田空港(京成電鉄)の双方が直通運転される路線となり、いまや両空港を結ぶ大動脈となっている。
旅行者の立場から見ても、この路線の利用価値は絶大であると言える。
相互直通運転が可能になるためには、当然のことであるが、乗り入れる双方の事業者間の軌間が同一であることが大前提である。
軌間が異なれば、相互直通運転は断念しなければならない。
現在の直通相互運転の大きな発展の背景には、民間鉄道の黎明期に、遠い将来を見据えて軌間の統一を図った先見の明があったからに他ならないのである。

4線直通運転開始記念乗車券
4線直通運転開始記念乗車券
写真は、京浜急行電鉄、都営地下鉄、京成電鉄、北総開発鉄道(現・北総鉄道)の4事業者の相互直通運転開始を記念して発売された記念乗車券(京浜急行電鉄発行)。
軌間同じくすれば、直通運転可能な巨大鉄道網の形成も可能になる。

軌間 その4 改軌そして東南アジアの鉄道網
https://ponce07.com/track-gauge-04/

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