辛くしますか? เอาเผ็ดไหมคะ その3

陽龍(ヤンロン)という 思案橋横丁の中華居酒屋で同席させていただいた 韓国出身のHさんの言葉がとても印象に残っています。
「『辛いものは食べられますか』という問いかけは、『耐えられますか』という問いかけと同じようなものですね」
どこの国に生まれても、人間の味覚などというものは、似たり寄ったりなのでしょう。
辛いものが食べられるのかは、耐性によるところ、つまり「慣れ」による部分が大きいのです。
幼い子供が最初から辛い物が食べられるわけではありません。
韓国でも、子供の頃からあまり辛くないキムチなどを与えていき、少しずつ唐辛子を食べさせるようにして、徐々に辛い味に慣らしていくとのことでした。
このあたりの事情は、タイとよく似ています。
だから、辛いものを口にしても平然としていられるのは、ある意味で鍛えられた大人っぽい男というイメージがあったのかもしれません。
それはあたかも熱い風呂に平然と浸かっている男や、強い酒を涼しい顔をして平然とあおる男を見て、「強い男だね」と目を細めるおばあちゃんの感覚に似ているのかもしれません。
辛さに汗を流しながら、「เผ็ด แต่อร่อย(辛い…でも旨い)」と言い訳をしながら匙を口に運ぶタイの男がいなくなる日はないのです。

世界でも有数な「辛いもの好き」のタイ人でも、日本食のワサビの味は辛い感じる人が結構いるとか。
同じ辛さでも質が違うから「慣れ」ができていないのです。
たとえば唐辛子を食べると、口の中がヒリヒリするのに対し、ワサビを食べるとツーンと鼻に抜けるような辛さを感じます。
またワサビは、食べた瞬間にその辛さを感じますが、唐辛子は、食べて少し時間を置いた後にその辛さを感じます。
唐辛子は熱をかけて料理しても辛いままですが、ワサビは熱すると辛味がなくなります。
辛さのもとになっているものは一体何なのでしょうか?
唐辛子にはカプサイシン、ワサビにはアリルイソチオシアネートという辛み成分が含まれています。
カプサイシンは熱に強い特徴を持っていますが、アリルイソチオシアネートは揮発性で熱に弱いのが特徴です。
ワサビが、唐辛子のように後に残る辛さではなく、後に引かない辛さなのは、この成分の影響によるものと言われています。
スパイスの世界は奥が深いものです。
タイや韓国の「ホットな辛さ」と、日本の「クールな辛さ」・・・
その両方を存分に楽しんでみたいと思います。


タイ語ランキング

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です