白い道 その5

アイスクリーム売りの女性の運転するバイクの後方には、商売道具である小さい屋台が取り付けてある
やや窮屈ではあったが、どうにか街の中心部にあるホテルに戻ることができた。
謝意を告げチップを渡した。

ホテルの部屋に駆け上がり、残していた荷物を片付けて、カバンを運び出した。

ホテルのマスターに、親父を病院に連れていってもらった礼を言う。
「さっきは本当にすまなかった」
「それで親父さんは?」
「入院したよ」
「あんたは今晩どこに泊まるんだい?」
「決めていないけど… 今晩ここは空き部屋はある?」
「すまないな、今日は満室だ」
「そうなんだ」
「あの病院の向かいにゲストハウスがあっただろう。あれはオレのダチがやっているんだ。電話しておこうか」
「ありがとう。でも今日の晩はどこに泊まるのかわからない。病院に泊まるかもしれない」
「・・・」
「まずは病院に戻るよ。すまないがタクシーを呼んでもらえないか?」
ここまで言うと、マスターはまた黙ってしまった。
するとホテルの事務員の女性が声をかけてくれる。
「アタシのクルマに乗って行きな」
またしても、救いの手が差し出された。

白い道 その6
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