素晴らしいトイレ その2

日本にも、サービスのいいトイレは数多くありますが、クンミンで見たような人的なサービスはありません。
日本のトイレの良さは、設備の良さと清潔さにあります。
美しいトイレは、意外にも近所にありました。
佐賀県の有田市にありました。
佐賀県立九州陶磁文化館にあったバリアフリーのトイレです。

写真を見てお分かりいただけますが、便器や洗面台、くずかごに至るまでのすべてが、有田焼仕様になっています。
細かいところでは、洗面台の排水口のキャップや、照明のスイッチ部分のパネルもしっかり有田焼で飾られているのです。

内側にも模様が…
豪華な洗面台
こんなところにまで…

その一つ一つには、精緻な模様が描かれています。
あまりの美しさに、いつまでも眺めていました。
これでは、実際に使う気がしません(笑)。

有田焼は、佐賀県有田町を中心に焼かれる磁器のことです。
はじめは、その積み出しが伊万里港からなされていたので、「伊万里(いまり)」とも呼ばれていました。
豊臣秀吉が朝鮮に出兵したときは、多くの朝鮮人の陶工が捕えられて、日本に渡ってきました。
有田焼の生みの親と言われている李参平も、そのひとりでした。
肥前の鍋島氏に捕らえられ、日本にやってきたのです。
そして有田の泉山で陶石を発見して、日本で初めて磁器を焼くことになったのです。
その後も、この有田の地で改良が重ねられ、世界的に優れた陶磁器が量産されることになったのです。
日本では、優れた技術を持った職人は高く評価されます。
江戸時代になって、朝鮮との戦が終わったあとも、多くの朝鮮人の陶工が祖国に帰ることをせず、この地に定着することを選んだのは、こうした職人が高い評価を受けることのできる風潮がもたらしたものと考えられます。
有田町では、李参平は「陶祖」として尊敬されて、これを祭った陶山神社(すえやまじんじゃ)という神社もあるほどなのです。
現在も直系の子孫が作陶活動などを行い、14代まで続いていると言います。
たとえ異国から連れてこられたよそ者でも、優れた技術を持った職人は、高い称賛を受ける。
この考えはとても重要なことであり、これからも大切にしてければならないと思います。

泉山 有田焼発祥の地

●佐賀県立九州陶磁文化館
所在地:佐賀県西松浦郡有田町戸杓乙3100-1
JR有田駅から徒歩約12分。自動車・タクシーで約4分。
https://saga-museum.jp/ceramic/

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