Categories: エッセイ

白い道 その7

クラビー県の私立病院。
緊急治療室で診療にあたったのは、やや年配の医師だった。
背後からはっきりと聞こえた。
「オトウサン、心臓危ないね」
日本語だった。
その医師は若い頃に東京に留学した経験があると言った。
専門は心臓外科だという。
渡りに舟とはこのことか。
幸運に感謝するのみだった。
病状は不安定だった。
心臓は停止と蘇生を繰り返した。
全身から延びる電気コードはモニターに繋がっている
モニターに映し出されるパルスは、止まったり動いたりを繰り返す。
全身の色も目まぐるしく変化する。
鬱血したり蒼白になったりを繰り返した。
うわ言を言っているが、何を言っているのかよく聞き取れない。
「心臓の動くチカラ弱い」 
「機械で助ける必要ある」
医師の言葉で理解した。
直ちにペースメーカーを埋め込む必要があるという。
緊急の大手術になる。
それは、このクラビー県の小さな病院では不可能。
医師は、手術可能な受け入れ先の病院探しを始めていた。
隣県のスラートターニー県にある県立病院か、プーケット県にある私立病院か。
2か所の候補地が挙げられた。

白い道 その8
https://ponce07.com/shiroimichi-08/


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ponce

旅が好き。東南アジアが好き。タイが好き。海が好き。猫が好き。 難解なタイ語の勉強に挑戦してます(実用タイ語検定準2級)。 将来の夢は愛車(クロスバイク)でタイを縦断すること。 横須賀市出身。